外国人が日経平均を買い戻す時が近づいている 企業業績は悲観されていたほどは悪くない
世界のファンドは、好調なアメリカ株を攻める一方で、ヘッジとして日本を売ってきた。程良い流動性があり、上がる時は僅かで下がる時は日銀が受けてくれるという、ヘッジには最適なマーケットだったからだ。それによって空売りが溜まりに溜まっているのが今の日本株。従ってピンポイントで買いが入ると、買い戻しエネルギーが爆発する。
残念ながら日本株全体に影響するほどの買いエネルギーはまだ発生していないものの、ピンポイントで現れたこの2銘柄が、その隠れた構造を地表に出現させたというわけだ。もう少し時間が必要だが、次第に他の銘柄にも広がっていくと思っている。
さらに、個人投資家の投資意欲を大きく削いでいた通信のソフトバンクが自己株買いを発表し、25日は一時上場時の高値を抜いたこともマーケットには大きなポジティブ材料だ。
企業評価の基本は業績だが、いわゆる相場用語で「業績相場」と言う場合は、その国の景気・経済の上昇、企業業績トータルの伸びを評価・期待した「相場の質」を指す。個々の銘柄が決算数字で動くだけでは、「業績相場」とは言わない。
岡三証券の集計では、ここまで発表されたTOPIX採用企業の4-6月期(3-5月期含む)実績を見ると、売上高は前年同期比-1.4%、営業利益は同-20.1%、当期利益も同-23.3%とかなり厳しい減収減益だ。しかし2019年度会社計画、クイックコンセンサス予想の両方が利用可能なTOPIX採用企業の2019年度当期利益で見ると、会社計画で前年度比+3.1%、クイックコンセンサス予想で同+6.6%となっている。年後半の不安がある中で、現在のところ、予想数字は当初悲観されていたほど悪くはない。
日本株の「相場の質」も改善の兆候がある
消費税増税後の姿が見えず、投資家の投資意欲を大きく削いでいるが、日経平均予想EPS(1株利益)が先週木曜日に史上最高値を更新(1795円09銭)し、投資家の弱いセンチメントとの乖離が生じている。しかし、最近の事象は、次第に変わり始めた相場の質を表していると筆者には感じられる。
まだ緩和・金利低下だけに期待する相場でもあるので、7月29日からの日銀金融政策決定会合、さらにはFOMCでは、結果もさることながら、相場の反応に最大の注意を向けるところと思っている。ハト派的な金融政策で買われ、タカ派的な発表で売られる今までの市場反応が変わっているかどうかをしっかり見極めたい。もし、タカ派でも買われる「業績相場」の兆候が少しでも出れば、筆者の見込み通りなのだが…。
以上のことから、今週の日経平均予想レンジは2万1300円~2万2000円とするが、FOMC以外の予定では8月1日(木)の7月ISM製造業景況感指数、2日(金)の7月雇用統計は外せない注目イベントだ。特に筆者は雇用統計より7月ISM製造業景況感指数に興味を持つ。すでに出ている7月の製造業関係の指標では、製造業PMIが6月よりさらに低下しているのに対して、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、7月の数字が記録的急回復を示しているからだ。どちらの製造業指数が正しいのか、その答えを出すISMの数字には興味津々だ。もちろん、それに対する市場の反応にさらに興味があるのだが。
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