東長崎、江古田…西武線"地味な駅"にある風情 椎名町、桜台にも各停でこそ味わえる下町感
「昔は駅での食事も自分たちで作っていましたからね、駅前の商店街に買い物に行くわけです。今みたいにスーパーなんてないから、八百屋さんとかお惣菜屋さんとかを回って。そうすると、『いつもお疲れさん』ってお店の人がサービスしてくれる。そういう交流が、当たり前のようにありましたよ」(田口管区長)
かつての駅頭の風景も、自動改札導入や駅の高架化によって姿を消しつつある。ただ、今も椎名町駅にはそうした地元の人たちとの交流が残っているようだ。それは次の東長崎駅も変わらない。東長崎駅は電車の追い抜きが行われるため島式2面4線という少し規模の大きな駅で、乗降人員は約2万8000人と椎名町よりも多い。
さらに駅の近くには“漫画の聖地”トキワ荘。地域でもトキワ荘を生かした町おこしを進めているようで、観光で訪れる人も少なくないという。駅前にある交番がトキワ荘を模した造りになっているほどだ。
「ただこちらも基本的には目の前に昔ながらの商店街があるようなところで、古い個人経営のお店もたくさん残っていますよ」(田口管区長)
住宅地の中を走る
この東長崎駅までが池袋駅管区内。次の江古田駅からが練馬駅管区に入る。が、まあ電車の中から見る車窓も特に変わらず、同じように線路端ギリギリまで家が立ち並ぶ住宅地の中を走ってゆく。
そして電車は学生の街・江古田駅……と言いたいところだが、その前に見逃せないところがある。池袋線の廃駅の1つ、長江駅の跡である。戦時中にやっていた糞尿輸送の拠点だったそうだ。
西武鉄道の前身である武蔵野鉄道では、戦時中に東京都の依頼に応じて都市部から郊外へと糞尿の輸送を行っていた。池袋線ではこの長江駅を都心側の拠点とし、郊外では清瀬駅や狭山ヶ丘駅、高麗駅付近に貯留槽を設けていたという。糞尿輸送は1951年くらいまで続けられ、廃止後に長江駅は西武市場駅と改称して1963年まで通常の貨物輸送の拠点駅になっていた。
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