東長崎、江古田…西武線"地味な駅"にある風情 椎名町、桜台にも各停でこそ味わえる下町感
そんな“秘史”の痕跡を横目に通り過ぎ、車窓が賑やかさを増したと思ったら江古田駅。日本大学芸術学部や武蔵野音楽大学、武蔵大学などが周辺に集まる“学生の町”である。
「日芸さんが今年度から全学年江古田校舎に通うようになって、学生さんの乗降車数が増えている駅ですね。日芸さんや武蔵野音大さんのおかげで防音設備のあるマンションが多くて、他の音楽系大学の学生さんも結構住んでいるらしいです」(幸田管区長)
ただ、全盛期は7万人を超えていたものの、最近の乗降人員は3万4000人ほどに落ち込んでいる。これは、西武有楽町線の新桜台駅の開業や都営大江戸線新江古田駅の開業の影響による。
駅前広場で町を盛り上げ
学生が多くて代謝の活発な町ではあるが、それでも高齢化が徐々に進んでいおり、江古田名物の喫茶店「トキ」や居酒屋「お志ど里」も閉店してしまった。そういうこともあって、最近は江古田の町を盛り上げようという試みも行われている。その一環で西武鉄道でも駅前広場を利用したちょっとしたイベントを催しているのだとか。
「駅前広場をごった返そうということで、アーティストさんを呼んで歌を歌ってもらったり。その中で駅の時間も少しだけいただきまして、若い社員がDA PUMPの『U.S.A.』を踊って、私も少しだけ歌わせていただきました。江古田にはライブハウスがいくつかあって、私もなんどか演奏したことがあるもので、馴染みもあるんですよね(笑)」(幸田管区長)
管区長の意外な姿が垣間見えたが、「鉄道員としてのキビキビしたところと、その反面親しみやすいところも見せて、鉄道に対する親近感を持ってもらえたら」(幸田管区長)という狙いもあるのだとか。今後も江古田のにぎわいのためにさまざまなアイデアを持っているようで、中には“駅にピアノを置いて音大生たちに気ままに演奏してもらう”というものも。実現するかどうかはさておき、地域と一体となって町の盛り上げに力を注ぐ、そんな鉄道会社の姿勢も感じられる。
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