がん診療「実績データ」マップで見る病院選び 疾患、手術有無から診療件数・入院日数を比較
対象は2017年4月から翌年3月までに退院または転棟した患者で、24時間以内の死亡や自費診療のみのデータは除く(具体的な対象は「分析対象データについて」を参照)。悪性腫瘍や悪性新生物疾患等を対象とし、良性腫瘍疾患については対象外とした。データは厚生労働省の公開データを利用し、抽出と集計はグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが実施した。
このマップでは、病院の都道府県、「地域がん診療病院」などのがん拠点病院分類、「肺がん(肺の悪性腫瘍)」など疾患の種類、手術の有無、化学療法・放射線等の有無から病院を検索し、該当する診療件数や在院日数を確認できる。ただし診療件数は10件以上のデータのみ公開されているため、10件未満の場合は「0」と表示される。
例えばあなたの知人が肺がんと診断され、手術が必要である場合、疾患の種類を「肺がん(肺の悪性腫瘍)」、手術の有無を「あり」として検索すると、全国の病院で手術を伴う肺がん診療を行った件数を見ることができる。マップ下には診療件数と在院日数の散布図が表示されるが、同じ診療でも病院によって件数や在院日数が数倍違うことがわかるはずだ。
厚生労働省のがん拠点病院指定だけでも6種類
従来、がん医療の病院選びで目安になるとされてきたのが、厚生労働省による「がん診療連携拠点病院等」の指定だ。これは、専門的ながん医療を提供できると厚生労働省に指定(正確には、都道府県の推薦を得て厚生労働省に認可)された病院で、全国に計429カ所(2019年7月1日時点)存在する。加えて、都道府県も独自の病院指定を行っており、こちらは計306カ所(2019年4月1日時点)存在する。
これらの指定は重要なポイントだが、実際にはこれだけを基準として病院選びを行うのは難しい。第一の理由は、指定の内容が多岐にわたること。
上記では「がん診療連携拠点病院」と一口に紹介したが、実際には「都道府県がん診療連携拠点病院」や「地域がん診療連携拠点病院」など、厚生労働省の指定だけでも6種類ある。さらに都道府県の独自指定では、例えば神奈川県では「神奈川県がん診療連携指定病院」、大阪府では「大阪府がん診療拠点病院」など、名称も指定基準もさまざまだ。