アベノミクスに致命的な欠陥あり 収益快進撃・JCUの粕谷佳允会長に聞く

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――まず技術者を育て確保することが最優先、ということですね。

ご存じのように、日本から技術者がどんどん流出している。技術者の流出がこんなにひどい国は世界にない。私どもの一番のお客さんはサムスンです。 サムスンのパートナーズ会議に出席すると、サムスン側から出てくる技術者は最低でも50%が日本人。どこかで見たな、という人がいっぱいいる。中国の家電メーカーも同様です。日本が開発した技術とノウハウがタダで向こうに行っている。つまり、彼らの開発費はゼロに等しい。しかも、元々が日本の技術だから、出来た製品に遜色はないし、工数は大幅に削減されている。これで彼らに勝て、と言う方が無理でしょう。

――流出した人材を呼び戻せ、ということでしょうか。

人材はよい順に出て行きます。よい人材がいなくなった会社は弱くなる。いったん出たよい人材は、弱くなった会社には戻らないでしょう。もちろん、韓国は甘くない。技術を吸収し尽くし、いらなくなった人間は「明日から出社に及ばず」と言い渡される。でも、彼らも本当に使える人材は離さないんです。3年で放り出された人間はたくさんいるが、そういう人たちの技術は陳腐化している。戻ってもらっても使いようがない。

「移民開国」のススメ

――では、日本の技術力を高めるためにどうしたらいいのでしょう。 

日本も海外から人材を呼び込めばいい。インテルの開発を担っている人材の半分以上は、中国人、インド人です。米国は自分たちにはないものをほかの国から持ってきて補った。日本も「開かれた」移民政策に転換する時だと思います。中国、タイやインドネシア、台湾。どんどん海外から学生たちを迎い入れて、優秀なら大学の授業料はタダにする。そうした学生が大学定員の半分くらいになってもいいじゃないか。彼らに勉強してもらい、日本にいい技術を残してもらう。卒業後に日本人と同じ条件で採用すれば、日本の会社に根付いてくれるでしょう。日本の出来の悪い学生に教えるよりずっと早い(笑)。

ちなみに、当社(JCU)が国内で雇っている外国人は全従業員の1割強の20人弱。むろん、海外では現地採用を進め、国内で採用した外国人を現地の所長に登用しているケースもある。連結ベースでは従業員の半分が外国人。海外の人材を活用しない限り、日本の復活はない、と思います。

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