京都中心と南部でまったく違う「高速網の役割」

南部のJCT・ICは関西の生産・物流拠点に変化

もちろん、日本で最も早く高速道路が開通した区間である名神高速の栗東~尼崎間(1963年開業)は京都市内を横断しており、京都東、京都南の2つのICが開業当初から設けられていたし、第二京阪道路と接続する形で巨椋池本線から山科まで阪神高速8号京都線(2011年に全通。2019年に山科~鴨川東間は京都市に移管し無料化、それ以外の区間も同年NEXCO西日本の管理となった)が伸びてきたり、丹波丹後方面に伸びる京都縦貫道のICも市の西端にできているので、京都市の南部あるいは西部に住んでいれば、高速道路が遠いということにはなっていない。

それでも、実際に京都で暮らしていると、市外への出張や週末の行楽を別にすれば日常の生活で高速道路を意識することはほとんどないのが実態だ。

都心部に高速道路を通すことは可能か?

話を冒頭の「京都の現状」に戻すが、観光シーズンの京都は市内の各地で渋滞する。とくに南北方向の移動は、幅の広い通りが堀川通くらいしかなく、観光地が連続する東大路通や商用車なども混じる烏丸通は移動の時間が読めない。

さらに京都は祇園祭や葵祭、時代祭、あるいは全国高校駅伝や都道府県対抗駅伝など幹線道路を長時間止めて行われる祭礼やイベントが多く、市内の混雑を回避して移動できる高速道路があったらどれだけよいだろうと思うこともたびたびある。

そして、実際、京都市には、都市計画に盛り込まれた高速道路が5路線存在する。うち2路線は前述の阪神高速8号線として開通した「新十条通・油小路線」。残りが堀川通と西大路通の直下に建設を予定している南北を結ぶ路線(堀川線、西大路線)と、油小路線から分岐して西に伸びる「久世橋線」である。しかし、何度か検討委員会が開かれたものの、事業化の決定には至っておらず、これらの路線は宙に浮いた状態である。

高速道路はないよりもあったほうが一般道の渋滞の緩和に寄与するはずだが、建設や維持にかかる費用と比べて本当にそれだけのメリットがあるかどうかを算定しないと予算に制約がある以上踏み切れない。

しかも近年は高速道路がもたらす都市景観の問題に以前よりずっと関心が高まっている。東京・日本橋の上に架かる首都高速は、重要文化財で日本の道路元標のある重要な橋の景観を損ねているとして地下化の話が持ち上がっている。

韓国・ソウルでは、中心部の清渓川の上に5km以上にわたる高架道路が建設されたが、老朽化に伴い、景観に配慮して高架道路を撤去している。堀川線と西大路線も地下化が想定されているが、地下にトンネルを掘るのは高架に比べてはるかにコストがかかるし、京都では地下に重要な歴史的埋蔵物が存在する可能性もあって地下鉄でさえ建設が進まない。

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