GDP鈍化で中国の金融緩和は避けられない

当局が頭を悩ます「余剰マネー」の向かう先

しかし、景気が悪化しているため、金融緩和は避けられそうにない。緩和によってさらに深刻化しかねない余剰マネーをどこに向かわせるのかは、当局にとって頭の痛い問題だ。当局は市場開放などの規制緩和に乗り出すと同時に、大規模な減税措置を実施し、製造業やサービス業といった実体経済への資金流入を期待している。

そして、もう1つの受け皿として期待されているのは中国版ナスダックと呼ばれる「科創板」だ。科創板は、「科学技術立国」の戦略を実現し、企業のイノベーションを促すため、昨年11月に習近平国家主席が上海で設立構想を発表した。

それがこの7月22日、いよいよ第1弾として25社の企業が正式に上場した。大型国有企業が数多く上場している上海や深圳証券取引所のメインボードに比べて、科創板では半導体や通信、医療機械などハイテク分野のベンチャー企業が主体となる。

22日、取引が始まった「科創板」はやはり期待通りのロケットスタートとなった。第一弾として上場した25社の株価は公募価格と比べてこれまで経験したことのない上昇幅を記録し、2倍になったのが当たり前。最も上昇した銘柄は5倍に急騰した。

「科創板」を余剰マネーの受け皿に

すでに人気が過熱化し、値幅制限もメインボードに比べて拡大されているため、今後、科創板に余剰マネーが流入してバブルが起きる可能性は高い。ハイテクバブルと聞くだけで懸念を示す識者が少なくないかもしれない。

だが、2000年代のITバブルがなければ今のGAFAはないはずだ。100社の中で1社くらい、中国で次のアリババやテンセントのような企業が誕生すればその効果は十分とも言える。

また余剰マネーに新たな受け皿を用意すれば、不動産バブルがさらに過熱する余地も小さくなる。アメリカの制裁を受ける中で科創板が成功すれば、中国企業が「自力更生」でハイテク分野の開発に力を入れる動きに拍車がかかる可能性もある。この意味では、科創板に「一石三鳥」の役割を期待したい。

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