GDP鈍化で中国の金融緩和は避けられない 当局が頭を悩ます「余剰マネー」の向かう先

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こうした雰囲気の中では、中国人民銀行がいつ金融緩和措置を発表してもおかしくない。しかし、たとえ追加の金融緩和措置が発表されても、中国の景気はよくなるのかは定かではない。

長年、中国の金融統計をウォッチしてきた筆者の感覚が最近どんどん鈍ってきている。月次ベースの新規融資額が1兆元という大台を超えるのが日常茶飯事で、2008年秋のリーマンショック以降に導入された量的金融緩和が常態化し感覚がマヒしているためだ。

問題は、過剰設備の問題に加え、2018年夏ごろから本格化した米中貿易摩擦で先行きの不透明を警戒する企業が設備投資を控えていることだ。また、底値から若干回復したものの、個人投資家が株式投資に本腰を入れるのも難しい状況にある。

地方大都市の住宅価格は2桁上昇

こうした中、資本逃避を警戒する中国当局は、企業や個人による海外への投資を厳しく制限するようになった。実際、2019年上半期の中国による海外のM&Aは金額ベースで前年同期比7割減と伝えられており、「一帯一路」などの国家戦略を担っている大型国有企業を除くと、民間企業と個人のほとんどは投資ができない状況に陥っている。

そうすると、国内では余剰マネーはかなり滞留しているはずだ。その余剰マネーが向かう先はやはり不動産だ。中国では、不動産市場に対する政策スタンスが猫の目のように変わっているため、緩和なのか引き締めなのか、さっぱりわからない。

そうした状況下で、中央政府の監視の目が届きやすい北京や上海を除いて、いつの間にか、西安や武漢、成都といった地方大都市の住宅価格は前年同月比2桁の上昇率が続いている。そのため、最近になり当局は不動産向け融資を厳しく制限し、規定を違反した金融機関や担当者を大量に処分するなど、不動産バブルの拡大を警戒している。

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