昭和シェル石油・新美春之会長、14年間の舵取りから退き後進に道
昭和シェル石油は16日、新美春之会長が3月の株主総会で代表権のない名誉会長へ退くことを発表した。新美氏は1995年に会長へ就任し、一時は社長を兼務するなどして14年間にわたり経営の舵取りを行ってきた。
同社が東京都内で開いた会見で新美氏は「日本で最も優れた石油会社になる礎は出来上がった」などとこれまでの実績を強調。「今こそが次の10年、20年の持続的成長に向け新たな体制の下で新機軸を打ち出すときであると強く感じており、このタイミングで後進に道を譲る決意をした」などと会長退任の理由を説明した。
ガソリンなど石油製品の国内需要減少を背景に、元売り各社は「脱石油」の動きを加速。昭和シェルは太陽光関連事業を「第2のコアビジネス」と位置づけ、同分野での展開に力を入れている。2007年には宮崎県の工場で太陽電池のパネル生産を開始。現在の生産規模は2万キロワットにとどまるが、09年前半には第2工場も稼働する予定だ。生産規模は計8万キロワットに膨らむ。
さらに、1000億円を投じて新たな太陽光発電パネル工場の建設も検討中。原子力発電1基分に相当する100万キロワット分のパネル生産をもくろむ。新美氏は「さらなる発展へ向けて歩み出したフシ目」と判断し、退く決意を固めた。
後任の会長には香藤繁常(かとうしげや)副会長が昇格。新井純社長は続投する。新美氏は取締役からも外れるが、「必要とされる場合には香藤、新井両氏のサポートやアドバイスを行いながら、リーダーシップが発揮できるようバックアップしたい」と述べた。
(松崎 泰弘)
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