宮迫と亮の「不本意な告発」が起こした巨大衝撃 「窮鼠猫を噛む」、吉本興業の姿勢問われる
ここまで騒動が大きくなり、「多くの芸人が謹慎に追い込まれたうえに、2人が辞め、不本意な暴露をせざるを得なくなった」という事実がある以上、吉本興業のマネジメントに何らかのミスがあったことは明白。「世間や社員を上から目線で見る」「何かが起こってから対応する」という大企業特有の旧態依然とした体質をイメージした人は多いでしょう。
しかし、吉本興業の事業は、言わずもがな、世間の人々を対象にしたエンターテインメント。それだけに法的効力と同等以上に重要なのは、企業の姿勢とイメージであり、「物的証拠があるかどうか」「パワハラをした、していない」をめぐる問題ではないでしょう。世間の人々が、「吉本興業は安心して笑える芸能事務所ではない」と思われてしまったら事業は立ち行かないのです。
一夜明けた21日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)に岡本社長がVTR出演し、謝罪コメントの後、翌22日に会見を開くことを発表しました。2人の会見を見た世間の人々は、「辞めるべきは岡本社長であって2人ではない」「契約書面を交わさない、報酬が不明瞭で安すぎるなど、吉本興業はおかしい」という見方に変わりつつあります。
近年、世間の人々は不倫やハラスメントなどの不祥事を目の当たりにし続け、謝罪会見にすっかり慣れました。人々の見る目が厳しくなる中、吉本興業と岡本社長に求められるのは、2人に抗戦するのではなく、ダメージコントロールしようと目論むのでもなく、率直に非を認め、具体的な個人と組織への改善策を提示すること。裏を返せば、ここまで対応が後手に回っている以上、含みのある答えでは世間の納得は得られませんし、想定台本を読むようなコメントでは批判は高まるばかりでしょう。
その意味で22日の会見は、吉本興業、芸人、社員の今後を左右する極めて重要なものであり、岡本社長にとっては正念場なのです。今や世間の声やネットメディアが大企業を動かし、衰退に追い込む時代であり、岡本社長の資質が問われる場になるでしょう。
騒動のクライマックスはまだまだ先
岡本社長の会見は、元マネージャーを務めていたダウンタウン・松本人志さんの尽力あって実現したことであり、吉本興業の対応の遅れをカバーするような素早い動きによって、わずかながら光が見えはじめました。また、松本さんは「『このままでは吉本興業は壊れていくんじゃないか』という危機感は持ちました」とも話し、岡本社長と2人をもう一度同じテーブルつかせ、立ち会いも辞さないことも明言しています。
2人の芸人だけでなく、先輩の松本人志さんらを巻き込んだうえで見せる吉本興業の対応は、芸能界に限らずエンターテインメント業界全般、引いては一般企業のスタンダードにも影響を与える事例になるでしょう。私たちはその一部始終を注視し、冷静な声をあげることで、日本が誇る笑いの総合商社が正しい方向に進んで欲しいところです。
決して間違えてはいけないのは、「吉本興業と岡本社長を叩けばいい」のではないこと。ターゲットが宮迫さんたちから吉本興業と岡本社長に変わっただけでは子どものいじめと同レベルで、何の進歩も生産性もありません。今回の騒動におけるクライマックスはまだまだ先であり、彼らが変化していく様子を長い目で見ていく必要があります。
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