宮迫と亮の「不本意な告発」が起こした巨大衝撃 「窮鼠猫を噛む」、吉本興業の姿勢問われる

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亮さんは、「(自分たちの)弁護士さんが来ると急に(会社側の)態度が変わったように僕は感じまして。そこから吉本の弁護士さんとしかお話できなくなって(岡本社長と話ができず)、僕たちも一方的に言われたり、記者会見の話が進まなかったりで、どんどん不信感が出てきました」と語りました。

「テレビ局は吉本の株主やから大丈夫」

さらに、「もともと『謝罪会見をしたい』『世間の皆さまに謝りたい』ということだったのが、どこからか話が変わっていき、『ネットとかで全部見られるようにしてもらえませんか?』と言うと、『そんなんこっちで決めるから』と(受け入れてもらえませんでした)。僕がすごく不信に思ったのが、『在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主やから大丈夫だから』と言われました。僕らからすると『何が大丈夫か』、よくわからないですけど、僕たちの本当の気持ちが伝わるかどうか。『ネットのこと(都合の悪い生配信)を止めようとしたのか』と感じてしまいまして、とても不安になりました」と、いつになく冗舌に語ったのです。

また、亮さんの言う通り、「ネット配信を排除しよう(テレビの生放送なども含めて)」としていたのが本当なら、自社に都合のいいように情報をコントロールするつもりだったのでしょう。一個人のパワハラに留まらず、会社そのものへの信頼が揺らぎかねないコメントだったのです。

【2019年7月21日18時40分追記】初出時、田村亮さんのテレビ局と吉本興業の資本関係についてのコメント引用に一部誤りがありましたので、上記のように修正しました。

やはり2人がいちばん言いたかったことは謝罪で間違いありませんが、2番目に言いたかったのは会社への不信感だったのでしょう。「吉本を辞める」「コンビ解散も辞さない」という覚悟が固まったことが率直さにつながり、世間の人々に「もう彼らを受け入れていいのではないか」というムードが生まれました。

ここで2人のダメージは下げ止まりとなり、イメージ回復への道を歩みはじめたのです。彼らの勝因は、「覚悟を見せる」「率直に話す」というクライシスコミュニケーション(危機管理広報)でのあるべき姿を見せたこと。だからこそ、「初動の段階でこれができていたら最小限のダメージで済んだ」という感は拭えませんが、今からでも決して遅くないのです。

吉本興業への感謝を繰り返していた以上、2人が見ている相手は、岡本社長だけ。そのことは宮迫さんの「7月7日、僕のマンションまで吉本興業の……名前は言いませんが、(ある)1人(の社員)が来ました」というコメントからもうかがえました。宮迫さんも亮さんも、岡本社長以外の個人名(先輩後輩の芸人を除く)を一切言わなかったのです。

次ページ「辞めるべきは2人でなく岡本社長」の声
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