アスクル社長「ヤフーの乗っ取りは許せない」 解任を突き付けられた岩田彰一郎氏が猛反論
ヤフーの説明は明らかに事実に反する
――18日の会見で、ヤフーによってアスクルの成長事業であるロハコが乗っ取られること、上場子会社におけるガバナンス体制の実効性が確保されてないことなどを問題提起しました。これに対し、ヤフーは、アスクルの社外取締役でアスクルの親会社プラスの今泉公二社長がロハコの事業譲渡を再三指摘していたため、ヤフーとしてロハコを譲渡する考えがあるのか意向を聞いたに過ぎないと説明しています。どちらの主張が正しいのでしょうか?
ヤフーのリリース自体はまだちゃんと読めていないが、今泉氏はある意味、かわいそうな立場に置かれている。今泉氏とは同じ大学で昔から仲がよくて、今でも友人だ。ヤフーにとって今泉氏の提案は渡りに船で、ヤフーはそれを利用したのだろう。
確かに当社の取締役会で今泉氏は前からロハコの赤字を問題視しており、撤退も含めて議論をしていた。ただ彼は、ヤフーに事業譲渡したらいいとは言っていない。ヤフーが「今泉氏の意向をうかがったに過ぎない」と説明するのは明らかに事実と反する。むしろ今泉氏の主張を好都合と捉えて、ヤフーが「ロハコをうちに事業譲渡すれば(アスクルの)時価総額は4000億〜5000億円まで上がりますよ」と今泉氏に匂わせ、今泉氏がその案に乗せられた形だと理解している(7月19日終値時点の時価総額は1432億円)。
そもそもヤフーは2019年1月に、ロハコをヤフーに譲渡することの可否と譲渡可能な場合の各種条件について、当社に検討の依頼をしてきている。事業譲渡を求めた場合、2012年に両社で結んだイコールパートナーシップの契約に違反し、当社からヤフーに対する株式の売渡請求権が発生するため、ここでは「譲渡の可否と譲渡可能な場合の条件について検討してほしい」という表現だった。
だが、実質上は検討を申し入れた翌月の2月末日に期限を切り、機関決定をしたうえ代表者の署名または代表印押印の回答を要請しており、「意向をきいてみただけ」というようなレベル感のものではない。
【2019年7月21日19時52分注記】初出時の記事で、「検討を申し入れた2019年2月末日」としておりましたが、上記のように修正いたします。
社長である私の退任を要求して経営体制の若返りを図るとも言っているが、私だけ変わることに何の意味があるのか。さまざまな点で矛盾を感じている。