アスクル社長「ヤフーの乗っ取りは許せない」 解任を突き付けられた岩田彰一郎氏が猛反論
ーーアスクルは2018年12月にロハコの改革案を発表。その案を議論する場に、アスクルの社外取締役でヤフーの常務執行役員でEC事業トップの小澤隆生氏や、ヤフーからの出向者でアスクル取締役の輿水宏哲氏もいました。年が明けて、なぜヤフーの姿勢が大きく変化したのでしょうか。
2018年まで小澤氏や輿水氏から、ロハコをヤフーに譲渡する可能性について、聞かれたことは一度もない。なぜヤフー側の姿勢が変わったのかはわからないし、理解に苦しむ。
だが、推察するに、当時ヤフーを子会社化することにより国内事業の成長戦略を構想していたソフトバンクの意向があったのだろう。2019年1月にヤフーからロハコの事業譲渡について検討依頼があった際、当社に来社したヤフーの川邊健太郎社長と小澤氏は「僕らは従わざるをえないんです」というようなことを言っていた。ソフトバンクの宮内謙社長兼CEOは、上場後の株価が低迷していることから、グループの収益力を上げるために強引に今回のようなことを求めたのだろう。
ーー宮内氏が裏にいるということですか?
そう思う。携帯料金値下げの話などもあり、(ソフトバンクにとって)この先はヤフーがどう化けるかが大事。そこでロハコを取り込みたいと宮内氏がヤフーの経営陣に働きかけたのだと見ている。
問題はヤフーのガバナンスだ
ーーヤフーの宮坂学社長が昨年、社長を退任してから、両者(アスクルとヤフーとの間)に溝が生じたのでしょうか。
宮坂氏とは厚い信頼関係があった。宮坂氏なら信頼できると思い、資本・業務提携を結んだ。それが突然社長を退いて驚いた。クーデターという話も聞いているが、真相はわからない。
2012年の提携は、アスクルの要望をかなり取り入れてもらった内容だ。宮坂氏がまだ社長を務めていた2015年にはIFRS基準でヤフーの連結子会社になることを求められたが、このときアスクルは自社株買いをしたし、その代わりとしてアスクルが不利にならないようにより強固な契約を結び直した。
問題だと感じるのは、ヤフーのガバナンスだ。取締役の過半がソフトバンクとソフトバンクグループ側の人間が占めており、影響力は日増しに高まっている。ヤフーが自身やその子会社のために、正しい意思決定をできているとは思えない。