女性に「無理しないで」と言う上司はなぜダメか 子育て&仕事に意欲的な「フルキャリ」の本音

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また、「子育て中の女性社員であれば、さすがに仕事のアウトプットの質が以前より落ちてしまうのもやむをえないだろう」という前提により、仕事の質が不十分であっても、目をつぶるようなことはないでしょうか。

子育てによる就労制約があっても、周囲の期待に応える仕事をしたい、自分を少しでも高めたいと思うフルキャリは、以前のように仕事ができなくなることで仕事の質が落ちてしまうことを、周囲が考える以上に気にしています。

意欲だけでなく成長機会までもが失われる

マネジャーにとっては「大変なときだから仕方がないよ」というフォローのつもりであったとしても、これまで以上に自分の仕事の質に敏感になっている復職後のフルキャリにとっては、以前より仕事の質を問われることがなくなったことで、「期待されなくなってしまったのではないか」と感じてしまう傾向があるようです。

先ほどの「無理しないで」と言われてつらいと思うのと同様に、「叱られなくなった」ことでショックを受けるフルキャリがいるのです。

このように、フルキャリの場合は、よかれと思って掛けた言葉や行った対応が意欲の低下につながる可能性があることを認識することが重要だと考えます。低下するのは意欲だけではありません。

そうした配慮のうえに行われる業務アサインや機会付与によって、彼女たちの業務経験や成長機会の蓄積が滞る傾向があります。そして結果、その後のキャリア構築や活躍が難しくなるといった事態を招くのです。これは本人にとってのみならず、組織にとっても、不幸なことではないでしょうか。

武田 佳奈 株式会社野村総合研究所未来創発センター上級コンサルタント

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たけだ かな / Kana Takeda

2004年、慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程を修了。同年、株式会社野村総合研究所に入社。以来、官公庁の政策立案支援、民間企業の事業戦略立案や新規事業創造支援などに従事。2018年4月より現職。専門は、女性活躍推進や働き方改革などの企業における人材マネジメント、保育や生活支援関連サービス産業など。著書に『モチベーション企業の研究』(共著、東洋経済新報社)、『東京・首都圏はこう変わる! 未来計画2020』(共著、日本経済新聞出版社)がある。

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