インスタ「投稿よりストーリー」が意味すること 「いいね!」がなくなる日はくるのか

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「インスタグラムを競争のように感じてほしくない」と、モセリはF8で言った。彼はインスタグラムが、「もっとプレッシャーを感じない場所」になることを望んでいるという。ドーシーはツイッターのジレンマを「毒性」という言葉で表す。もし、数値によって間違ったことが誘発されなくなれば、その毒性も減少していくのではないかと彼は考えている。

一方でYouTubeは、変更を行うのは、サービス全体で数値の表示方法を統一するためだという。しかし、同社はここ数カ月、クリエーター間での激しい争いに対処している。どれも登録者数のカウントが関係するものだ。

以前ほどフィードに投稿しなくなっている

インスタグラムがプレッシャーを感じさせ、ステータスについての不安を引き起こすことは明らかだ。また、ツイッターに非常に満足しているユーザーでも、ツイッターが「毒性」を持つ場合があることは認めるだろう。しかし、これらの企業のリーダーたちがユーザーにとっては当然の問題にようやく取り組み始めた、と考えたとしたら、それは誤解だ。彼らの問題はわたしたちの問題とは異なる。

彼らの仕事は、人々に自社のサービスを使ってもらうようにすることだ。彼らは、「いいね!」などの数によってユーザーに目標を示し、成功とはどんなものかをつねにユーザーに見せることができた。そのため、しばらくのあいだはそうした数値が彼らの仕事の助けになった。この期間は、ユーザーにとってもプラットフォームにとっても成長期で、両者が重視するものは一致していた。

しかし、そんな時代は終わりつつある。

2019年、ツイッターはその株価を除いては、ほとんどの点から見て著しく停滞している。また、フォロワー数は必ずしも実際に投稿を見ている人とは限らなくなっている。インスタグラムはフェイスブックの事業では優等生なのかもしれないし、同社によれば現在も勢いよく成長している。

しかし、「いいね!」を隠そうとしていることから推測される1つの問題は、ユーザーが以前ほどフィードには投稿しなくなっているということだ。その代わりに、ユーザーはストーリーを投稿している。スナップチャットのまねをしてつくった24時間で投稿が消えるフォーマットだ。

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