世界的なキャッシュレス化の流れを受け、カード決済に加え、プリペイドや電子決済にも注力している。ネット決済やスマホ決済に対応すべく、2016年12月にeコマース決済認証のカーディナル・コマースを買収すると、2018年2月にはB2B決済プラットフォーム技術を有するフリーダムを買収するなど、積極的な投資を行ってきた。
そして2019年、国際送金ネットワークを運営するブロックチェーン企業リップルと提携しているイギリスのアースポート社を、マスターカードとの買収合戦の末に獲得している。
ビザを追撃する2位のマスターカード(MA)も、カード発行や加盟店管理を行わず、カード決済システムだけを提供している。世界210を超える国と地域で、クレジットカードの「Mastercard」や「Maestro」などのデビットカード、銀行ATMで使えるオンラインシステム「Cirrus」を展開。2018年12月末時点のカード発行枚数は約20億枚に達している。
2013年にクラウドを活用したデジタル・ウォレットサービス「MasterPass」をスタートさせ、世界中に拡大させてきた。同社も電子決済の拡充を進めており、2017年4月にはイギリスの銀行間ネットワークを運営するボーカリンクを買収している。また、アースポート社の買収合戦には敗れたが、国際クロスボーダー送金ネットワークのトランスファストを買収した。
変わる電子決済の勢力図
各社が力を入れる電子決済の分野で存在感を示しているのがペイパル(PYPL)だ。オンラインで口座間での決済や送金などを簡単かつ安価で提供しており、世界200以上の国と地域で、2億7700万人が利用している。
1998年12月に創業し3年後の2002年にオンラインオークションのイーベイに買収されるが、2015年に独立し再上場を果たした。その後はビザやマスターカード、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカといった金融機関などとも相次いで提携している。
同社のビジネスでとくに注目されているのが、「Venmo」というアプリを使ったP2P(ピアツーピア:ネットワーク上の端末が対等に通信を行うこと)の個人間送金サービスだ。
アカウントを作成し銀行口座を登録するだけで利用できるという手軽さと、SNSをリンクさせたりタイムフィードが表示されたりと、コミュニケーションツールとしての機能を持たせている点が受け、とくにミレニアル世代を中心とした若者の間で人気が広がっている。2009年に誕生した「Venmo」は、2012年に決済サービス会社Braintreeに買収されるも、翌2013年にペイパルがBraintreeを買収したことでその傘下に入った。
なお、ペイパルはその後も2015年にデジタル送金プロバイダのXoom、2018年には詐欺防止やリスク管理プラットフォームのシミリティ、中小企業向けeコマースプラットフォームのiZettleを買収するなど、積極的にM&Aを活用している。
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