ファーストデータ(FDC)も電子決済の大手企業で、世界100カ国以上の3700の金融機関と約600万の事業所にサービスを提供している。
「Clover」POSシステムを中心とする加盟店向けの決済システムが中核で、金融機関向けのカード、クレジット、ローンなどの決済やコールセンターなどを含むバックオフィスサービスを展開している。北米での地盤強化を図るため、2017年に決済処理プロバイダーのBluePayを買収している。
2019年1月、金融機関向けのITサービスを提供するファイサーブ(FISV)がファーストデータを買収すると発表した。これにより、単純計算で売上高145億ドルの巨大な電子決済企業が誕生する。買収完了は今年後半になる予定だ。
ファイサーブは元祖フィンテック企業とも目される存在で、カード決済や電子決済サービス、ネットバンキングシステムなどを提供するペイメント部門と、金融機関向けのソフトウェア、システム構築、コンサルティングなどを行うフィナンシャル部門で構成されている。金融機関が主顧客ということもあり、売上高の約85%は3~5年の複数年契約で、かつ更新契約による手数料収入によるもので、安定した収益基盤が強みだ。
この分野での大型合併がもう1つ。世界130国以上の約2万社に決済や資産管理などのシステムとネットバンキングなどの技術サービスを提供しているフィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)が、世界146カ国でeコマースなどの決済システムを展開するワールドペイ(WP)を買収する。こちらも2019年中の完了を予定している。
ちなみにワールドペイは、2017年にアメリカのバンティブに買収された後も社名を残したまま新会社として事業を続けていた。
スクエア(SQ)はツイッターのジャック・ドーシーCEOが創業したモバイル決済サービス企業で、スマートフォンに装着しカード決済する端末ICカードリーダーや、売上や在庫管理もできるPOSレジアプリを展開している。
2018年にはWebサイト構築を行うWeeblyを買収し、中小企業やeコマース向けビジネスの拡大を進めている。なお、同社は2014年にレストランの宅配サービス会社Caviarを買収、さらに2018年にはZestyを取得し企業向けのケータリングサービスを拡張するなど、食品の発注プラットフォームの構築にも注力している。
ロボ・アド普及でETFが急伸
運用の世界でもフィンテックは勢力を拡大している。その代表がロボ・アドバイザーだ。日本ではようやく認知度が高まってきた状態だが、アメリカではすでに2016年末時点で約830億ドル(約9兆円、1ドル=108円換算、以下同)に達している(野村総合研究レポートより。セルーリ・アソシエイツ調べ)。
先行するのがチャールズ・シュワブ(SCHW)。ディスカウント・ブローカーとして創業・成長し、1990年代にはオンライン取引で一世を風靡したが、ITバブル崩壊後の収益悪化でビジネス構造の軌道修正を余儀なくされた。現在は個人投資家向けのリテールや退職年金サービスと、独立系投資顧問(RIA)やアドバイザー向けのサポートサービスなどを提供している。
ロボ・アドバイザー事業開始は2015年。個人投資家向けの「シュワブ・インテリジェント・ポートフォリオ」では、投資家の目標や期間、リスク許容度に応じて20以上の資産クラスから53種類のETF(上場投資信託)を提供、ポートフォリオを自動で監視しリバランスを行う。
また専門家であるCFPのアドバイスを受けることができるプレミアム版のほか、RIA向けの「インスティテューショナル・インテリジェント・ポートフォリオ」も展開している。
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