ジャニーズ「圧力疑惑」への対応に浮かぶ大疑問 証拠の有無は問題ではなく解釈が甘すぎる

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ジャニーズは「彼らを応援したい」とまでは言えなくても、「現在の不自然な状況を解消してほしい」とコメントするだけで、彼らの言うところの“誤解”を解消できたのではないでしょうか。少なくとも、元SMAPの3人に対する何らかのコメントをしておけば、ここまでのイメージダウンは防げたはずです。

できれば報道に対するファーストアクションで“誤解”を解消しておきたかったところですが、これからでも決して遅くはありません。「長年、世間の人々が抱いていた疑いがある上に、公正取引委員会が動き、公共放送のNHKがわざわざ速報を流した」という経緯と事実を踏まえると、これまで以上の対応が必要でしょう。

ジャニーズは昨年トラブルや不祥事が相次ぎましたが、タレントが矢面に立つだけで事務所側の人物が前に出ることはありませんでした。それだけに今回はジャニーズにとっても、会見を開いて自社のスタンスを明確に示すことで、誤解があるのならそれを晴らし、イメージ回復につなげるチャンスなのです。

もし今後の対応がなければ、ジャニーズに対する世間のイメージは下がったままで、一部のファンだけに愛されるスケールの小さな存在になってしまいかねません。今後もSMAPのような国民的アイドルをプロデュースしていきたいのであれば、ジャニー喜多川さんが亡くなった今こそクリーンな姿勢を打ち出すタイミングでしょう。

“ジャニーズ案件”という業界用語

次に、これまで私がテレビ、雑誌、ウェブの各メディアで目の当たりにしてきたことを書いていきましょう。

ジャニーズの所属タレントは、まじめで礼儀正しい人が多く、プロデューサーやディレクター、編集者や記者など、現場スタッフたちの評判はおおむね良好。ところが、打ち合わせの段階で事務所のスタッフが複数のNG項目をほのめかしたり、制限のある取材にも関わらず意にそぐわない内容はバッサリとカットされたり、担当者や執筆者に懸念を示されるというケースを何度も見聞きしてきました。

テレビマンや雑誌編集者たちは、「ジャニーズの仕事をしている」という人に会うと、「大変ですね」と声をかけてねぎらうのが社交辞令のようになっていますし、「でもウチはジャニーズさんあっての番組(雑誌、ウェブサイト)だから」と返すのが定番のやり取り。メディアの間では“ジャニーズ案件”という業界用語が当然のように使われるなど、特別な存在として忖度を受けていることは事実なのです。

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