医師と製薬マネーのあまり表には出ない大問題

法制化も罰則もなく自主規制に頼る寒い現状

医師と製薬会社の癒着による“闇営業”問題にメスを入れるべく、「灘校で語る『医師と製薬マネー』シンポジウム」が開催された(写真提供:ワセダクロニクル)

「大手製薬会社の薬を宣伝する医師たちの“闇営業”を野放しにしたらダメだ!」

灘校(灘中学校・灘高等学校 神戸市灘区)で気炎を上げ会場を大いに沸かしたのは、同校卒業生で現役医師でもある、上昌広氏と岡本雅之氏。

上氏は、医療ガバナンス研究所(以下、MEGRI)を主宰し、東日本大震災・原発事故被災地へ若手医師を派遣するなどの医療支援をする一方、医薬業界のさまざまな不正や問題について積極的に発信している。岡本氏も東大阪市で医院を開業するかたわら、Dr. Masaとしてラジオ大阪でパーソナリティー番組を持つという名物医師だ。

言うまでもなく灘校は全国屈指の有名進学校で、受験界で最難関の東大理III(医学部)にも多くの合格者を出すことで知られている。そこでこの6月末に開催されたのが、MEGRIとジャーナリズムNGOワセダクロニクル(以下、ワセクロ)共催による「灘校で語る『医師と製薬マネー』シンポジウム」だ。

折しも、吉本興業所属の芸人たち、なかでも有名お笑いタレントの宮迫博之が振り込め詐欺グループの宴会に出て100万円もらっていたという闇営業(アルバイト)が発覚して大問題になっているが、さて、「医師の“闇営業”とはなんのことだ?」と不思議に思われることだろう。まずそれについて解説しよう。

医師の闇営業=薬の宣伝活動

医師の本来の仕事は、当然ながら患者の診療を行うことだ。医師免許を持つほとんどの医師が、医療機関で働き収入を得ている。これ以外にも大学や研究機関に勤め、研究職に就いている医師もいる。よく大学病院などでは、診療・教育・研究の3本柱が重要と言われるが、それが医師の本来の職務であることに誰も異論はないはずだ。

しかし、この診療・教育・研究活動以外にも、医師の大きな収入源になりうる活動がある。そのことは、これまで世間一般ではあまり知られていなかった。

芸人用語としての闇営業は、「芸人が所属事務所ではなく、個人的なルートを通して芸能活動を行うこと」を指す。実は、医師の世界にも似た構図があり、所属する医療・研究機関以外からもオイシイ仕事が回ってくることがある。

それは、製薬会社や医療機器メーカーから頼まれる講演会活動などだ。場合によっては、診療業務など本来の仕事で得られる収入よりもはるかに時給が高く、年間1000万円以上に及ぶ製薬会社からの副収入を稼ぎ出す著名医師もいる。すなわち、ここで闇営業にたとえられたのは、医師と製薬会社がタッグを組んで行う薬の宣伝活動のことなのだ。

吉本芸人の宮迫らは反社会勢力から金をもらっていたわけだが、こちらの場合、闇営業といえども、税務申告さえきちんと行っておけば何ら違法な活動ではない。大学など所属機関でも当然認められている。

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