医師と製薬マネーのあまり表には出ない大問題

法制化も罰則もなく自主規制に頼る寒い現状

しかし、なかには年間100件以上もこの活動に精を出す医師がいて、こうなると本来の業務(診療)は大丈夫なのか、と患者も心配になるだろう。

その懸念は当然で、国立病院など公的医療機関では年間500万円まで、大学では本給(大学教授では年間1000万円程度)を超えないこと、という内規を設けているところも多い。逆に内規がなければ、この額を超えて副業にいそしむ医師が珍しくないことを意味している。

影響力を持つ医療界幹部が闇営業で高収入を得ている

2019年6月23日、新聞2紙が一面トップでこの問題を報じた。

毎日新聞は「製薬謝礼 一部に集中 処方多い学会理事 講演・原稿料」、東京新聞は「薬審議委員に製薬マネー 医師ら6割 講演料など」という大見出しで始まる記事を目にした人も多いだろう。東洋経済新報社が発行する『週刊東洋経済』も、2019年6月1日号で「クスリの大罪」と題した特集を展開した。

「東大教授を頂点とするような、官尊民卑の大学病院モデルは限界にきている」と語る上氏(写真提供:ワセダクロニクル)

これらの記事では、闇営業で高収入を得ているのが、処方薬の評価や値段を決めるなど国の審議委員についている医師や、一般の医師に強い影響力を持つ医学会の幹部であることを問題視した。

「政治家とカネ」については政治資金規正法などができ、世間の目が厳しくなったが、このような“公職”に就く医師と製薬マネーの金脈問題については、これまで「業界タブー」となっていた。この事情は、拙著『知ってはいけない薬のカラクリ』(小学館新書)でも詳しく記している。

シンポジウムで、上氏、岡本氏らはこのようにも述べた。

「産学協同は詭弁以外のなにものでもない」と話す岡本氏(写真提供:ワセダクロニクル)

:製薬会社から講演料などの名目でお金をもらっていることが、最近になってようやくマスメディアでも報道されるようになりました。それについて、大学教授や学会理事など有名な医師が反論としてよく口にするのが、《産学協同の必要性》という大義名分です。

岡本:しかし、それは本当に産学協同と呼べる活動なんですか? そもそも患者のためになってますかね。本来の仕事をほったらかして、製薬会社の宣伝マンのアルバイトをやっているだけじゃないですか。

:東大教授を頂点とするような、官尊民卑の大学病院モデルは限界にきている。東大病院も赤字垂れ流しで、今や東大のお荷物になっている。そんな窮状でありながら患者さんをほったらかしにして、大学教授が年間何十回と講演に出かけ、診療では専門病院に実績で圧倒されている。後進の医師を育成すべき大学教授たちにとっていちばん大切な時間を、ムダに使っていると本当に思います。

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