ただ、インフィニティブランドは日本国内で展開されていない。にもかかわらず、日本の消費者にはほぼ無名のエンブレムを付けて、NISSANブランドのスカイラインとして販売するという「ねじれ」が生じていた。
背景には、日産が経営の軸足を海外市場に移し、日本市場の存在感が低下していたことがある。現行スカイラインと時期が重なる日産の中期経営計画「パワー88」(2011~2016年度)では北米や中国、インドやブラジルなど新興国での事業拡大を重視。ホームマーケットであるはずの日本は成長余地が乏しいとみなされ、国内向けモデルへの投資は抑制される傾向にあったのだ。
「(スカイラインの)現行モデルは北米を中心とした海外を意識して開発された。日本はあくまでもプラスアルファの市場。そうした日本市場の位置づけがエンブレムに現れていた」(日産関係者)
日本市場を見捨てたかのような印象
とはいえ、スカイラインは日産の歴史を体現する看板車種だ。海外でのインフィニティブランドと同じ「Q50」に車種名を統一しようとする一部の外国人役員らの動きに日本人役員があらがった結果、スカイラインの名称のみが残される折衷案に落ち着いた経緯がある。
ただ、エンブレムがインフィニティに変わったことは、日本市場を見捨てたかのような印象を消費者に与えた。
売れ筋がSUV(スポーツ多目的車)やコンパクトカーに移り、セダン市場が縮小したこともあり、直近2年のスカイラインの国内販売は年間2000台程度に低迷。価格帯が近く、ライバルとして比較されることが多いトヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」のISと比較しても劣勢の状況が続く。
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