改正貸金業法の完全施行が近づくが、視界不良の消費者金融業界
たとえば大手消費者金融の一角、プロミスでは、今年度の同請求件数は第1四半期が2万8000件、第2四半期が2万5000件と漸減していたものの、第3四半期には2万7000件に反転・増加した。第3四半期をさらに月別に見ると、10、11月と減少傾向にあったものの、12月に突然、大きく請求件数がハネ上がったという。
アコムもほぼ同様の状況に直面している。2~7月まで月間1万件前後だった請求件数は、8月には減少したものの、10月1万2600件、11月1万1400件。「月間の営業日数で割ると、1営業日単位の請求件数は増加している」ことになる。
今年度の過払利息返還問題について、プロミス、アコムは当初から慎重な見通しを示していた。その意味では想定どおりの展開ということになるが、それでも、年末にかけての請求件数ハネ上がりには顔色を曇らせている。ましてや、今後、第4四半期に請求件数、さらには過払利息返還費用の増加が歴然とした場合には、利息返還損失等引当金の繰り入れ負担がのしかかってくる可能性すらある。
おまけに、ここにきて、完済者による利息返還請求の動きが広がりつつある。完済者の中には出資法上限金利が29.2%よりも高水準だった時代の利用者もいて、当然ながら、過払い利息の比率も相対的に高くならざるをえない。請求件数の増加と1件当たりの請求額の拡大が重なれば、利息返還損失等引当金の取り崩しが遠のくばかりか、逆に積み増しの必要性が、いよいよ増してくることにもなる。
貸金業法の完全施行という新世界が間近に見え始める直前であるにもかかわらず、依然として、過去の重荷を背負い続けるしかない貸金業者の過酷な日々が繰り返されている。
ローン保証業務には脚光だがローン事業の先行きは多難
そうした中で、メガバンクの傘下入りしたアコムとプロミスは、次第に新たなビジョンを描き出している。本格的な保証業務の展開がそれである。
すでにプロミスは三井住友銀行との間で「カスケード方式」によるローン保証提携を先行させていたが、昨年秋にはアコムが名実ともに三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のメンバーとなると同時に、グループ内におけるローン保証業務の中核的な存在となることを明らかにした。