改正貸金業法の完全施行が近づくが、視界不良の消費者金融業界
いったい、最終的な着地はどのようになるのか--。
改正貸金業法に盛り込まれた規制内容の完全施行(4号施行)まで、最長でもわずか1年強を残すだけというタイミングになった。最大の焦点は、貸付金上限金利の厳格適用と借り手の年収の3分の1を与信上限とする総量規制の導入にある。
無担保ローン、キャッシングによる個人向け与信を行っている消費者金融会社や信販・クレジットカード会社の多くが、新規貸し付け分の貸付金利引き下げに対応する形で、与信厳格化を実施済みだが、これはあくまでも貸金業法の段階的な施行を踏まえた過渡的な施策にすぎない。来るべき収益低下局面に備えて、店舗統廃合や希望退職の断行など、コスト削減策も立て続けに実行しているものの、かつての収益力とはほど遠い利益水準にあえぐ状況が続いている。すべてが途上なのだ。
第3四半期に急増 やまない利息返還請求
そうした中で、2008年度当初、大手消費者金融会社の一部や信販会社などの間で語られていたのが、「過払い利息返還請求の動きは、年度央にはピークアウトするのではないか」という見込みだった。
利息制限法上限金利を超える「みなし利息」の存在を最高裁で否認されたことによって、借り手が利息制限法上限金利を超えて支払い続けた“超過利息”の返還を求める借り手の動きが一挙に拡大。これを受けて、日本公認会計士協会の指針に基づいて、大手消費者金融各社が利息返還損失等引当金を数千億円規模で繰り入れて、巨額の赤字決算を余儀なくされたのが07年3月期決算だった。
それから1年以上、過払利息返還請求の嵐に見舞われ続けて、そろそろ風圧が弱まるかと淡い期待を抱いてから、さらに半年以上が経過した今、残念ながら、その見通しはやや崩れかけつつある。昨年夏場にかけて減少傾向がみられた同請求件数が、第3四半期に入って以後、再び増加に転じたからだ。