3時間で10品超!「出張シェフ」が超便利な理由 料理の悩みをプロが解決する「シェアダイン」

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前出のこじまさんは、かつて保育園で管理栄養士をしていた。保育園時代は献立考案、食材の発注、おたより作り、保護者からの相談に乗るなど幅広い業務を担当しており、子どもの食事や離乳食作りにおいてはエキスパートだ。

その経験を生かしてフリーに転身。シェアダインと出合い仕事を始めた。保育園で勤務経験もあることから主に離乳食を必要とするような小さな子どものいる家庭からのリクエストが多いという。「野菜が食べられなかった子どもが食べられるようになったと言ってもらえるのがうれしい」(こじまさん)とやりがいについて語る。

認知度向上や幅広い世帯へのアプローチが課題

サービス開始から1年――。当然、すべてが順調だったわけではない。「サービス開始から2018年10月までは伸び悩んだ」(井出氏)。10月までは予約を入れないとシェフと相談できなかったが、予約前に相談できるように改善した。すると、予約数はグングン伸びてきた。登録者数は公表していないが、2018年11月~2019年6月のサービス提供回数は、前月比150%で伸びている。

2019年4月からは月額定額制(サブスクリプションサービス)も開始。月2回コースが1万2000円、月4回コースが2万4000円(交通費込み、食材費は別)となっている。「毎回予約する手間がかかる」「パーソナライズしたメニューを毎回作って欲しい」というユーザーの声などを受けて実現。

単発から定額への「転換率は3割ほど」と順調な滑り出しだ。現状、シェフを指名する場合は単発でも定額同額だが、ゆくゆくは月額サービスによりメリットのある仕組みにしていく方針を決めている。

自身も子どもの偏食に悩んでいた井出共同代表。「悩んでいる私たちだからこそやる意味がある」と仲間とシェアダインを立ち上げた(撮影:田所千代美)

現状、利用者の70%が共働きの子育て世帯で、「子どもがいなくても使えるの?と聞かれることがある」(井出氏)という。食材の買い物も頼めたり、栄養バランスを考えたりもしてくれるので高齢者などの需要もありそうだ。認知度向上や幅広い世帯へのアプローチも今後の課題だろう。

大阪などの地方都市へも近々進出するとしていたが、「まずはサブスクリプションサービスを成長させたい」(井出氏)と言い、急激な規模拡大よりもまずは関東で足場を築いていく方針だ。創業間もないベンチャーだからこそ機動的に動いている様子がうかがえる。

共働きが右肩上がりに増え、「時短」をキーワードにした商品やサービスが活況だ。核家族化やご近所付き合いなどが減る中で、家族や子どもについて気軽に話したり相談したりできなくなっているのが現状。だからこそ、こういった「悩み」にアプローチしたサービスはとても貴重なのだろう。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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