凍てつく金融市場、日本にも襲いかかるマネーパニック最前線
もっとも、資金調達に頭を抱えたのは外銀など一部の銀行だけではない。むしろ資金ニーズがある法人顧客を持つ大手邦銀のほうが膨大な資金調達の必要性にかられている。
そこに発生したのが社債、コマーシャルペーパー(CP)市場の機能不全だ。結局、同市場からの資金調達が不可能になった大企業、中堅企業が続々と銀行借り入れに押し寄せてきた。その受け手である銀行にとって、インターバンク市場からの資金調達は従来にも増して必要になったものの、肝心要のインターバンク市場が甚だしいダッチロールを繰り返す。金融市場は日照りのようだった。
その局面を大手銀行の市場担当者はこう振り返る。「1分刻みで市場の状態が悪化していくことを肌で感じた。正直に言って怖かった」。
この時期、銀行系ノンバンクには資金調達を依存する親銀行からこんな電話がかかっていた。「申し訳ないが、インターバンク市場で調達できなかったので、他の銀行に借り入れを申し入れるなど自力で頼む」。
その電話を受けたノンバンクの担当者は「一瞬、頭の中が真っ白になった」と漏らす。とにかく、尋常ならざる事態が進行したのだ。
インターバンク市場の機能が著しくダウンしたのとは対照的に、一般には知られていないある市場はすこぶるヒートアップした。地方公共団体や共済年金など公的セクターが実施する短期資金運用のための入札がそれ。公金市場と言われる同市場では「今日から1カ月の預金をします」というオファーを受けた銀行が「何%の金利を出します」と応札する慣行の中で、大口定期預金、CD(譲渡性預金)などの応札レートがハネ上がった。
「具体的なレートは言えないが、あっと驚くレートも出ていた。ウチもかなり高めのレートを提示したが、それでも落札できなかった」。大手銀行の担当者がこう説明するように、この市場では連日、「普通とはケタが一つ違う」(他の大手銀行)預金レートが飛び交っていた。
次のヤマ場は3月? 年度末越えで資金難か
邦銀のパニックは海外にも及んでいる。一時、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、現地での邦銀による資金調達はほぼ不可能という状態に陥ったのだ。