収益か投資家保護か「不動産情報サイト」の憂鬱 不正業者の締め出しにあの手この手
業者をふるいにかけることは、投資家にとっては安心して取引ができる反面、サイト運営者の収益減に直結する。それだけにサイト運営者にとっては苦渋の選択となる。
実際、不正融資問題の噴出後、楽待のセミナー掲載数は減少。スルガ銀行を利用していた業者の撤退・業務縮小も逆風となり、売上高は一時的に落ち込んだ。ペナルティ制度の運用について、ファーストロジックに取材を申し込んだが、「コメントできない」と詳細は明かされなかった。ちなみにその後、楽待の物件掲載数は若干持ち直している。
審査厳格化で売り上げ減少
楽待と同様に、不動産投資に関するニュースの配信やセミナー紹介を行う「不動産投資の教科書」も、不正業者の対応に振り回された。
今年、セミナーを掲載していた1棟マンションを扱う業者に対して、「融資書類の改ざんや、投資家に対して事実と異なる説明をしている」というテレビ報道がなされた。一報を受けた同社はすぐに広告を取り下げたが、業者の不正行為については「風の噂には聞いていた。もっと早く対応していればよかった」と、山本尚宏社長は悔やむ。
現在、同社は不正に手を染める業者の洗い出しに躍起だ。新規に取引を始める業者に対しては、信用調査会社に与信調査を依頼するほか、同業者や投資家に対して業者に対する評判のヒアリングを行う。
「少しでも危うい兆候があればお断りする。新規取引を持ちかけた業者のうち、3分の1程度は審査基準に抵触し不合格となる」(山本社長)。取材を行った前日にも、物件の想定賃料が高すぎるという理由で、審査に不合格となった業者があったという。
広告収入か、投資家保護か。ここにもジレンマはつきまとう。審査を強化した結果、同社の売り上げは軟調だ。それでも、「投資家からの信頼を勝ち取ることが、会社の中長期的な成長につながる」と山本社長は語る。
2017年10月設立の新興投資情報メディア「HEDGE GUIDE(ヘッジガイド)」でも、昨年の不正融資問題発覚後は「1棟モノを扱う業者の広告出稿が大きく減った」(運営元のハーチの加藤佑社長)。設立以来、取引企業への信用調査や代表者との面談を通じた審査を行っているが、「通過するのは20~30社に1社。掲載後も継続的に調査を行っている」(加藤社長)という。
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