「謎肉」起点の植物肉人気、ケンコーマヨの勝算 世界中で巻き起こるブームのワケ
使いやすさを考えて、パスタソースとカレーの開発が決まった。使用するのはそぼろ状の大豆ミートで、サラダ総菜メーカーという強みを生かして野菜にもこだわることになった。
開発コンセプトは決まったが、商品化への道のりは平坦でなかった。十数種類もの大豆ミート素材を取り寄せ、あらゆる香辛料と合わせて数十回の試作を重ねたが、「ソースと大豆を合わせるとケンカしてしまい、大豆特有のクセを抑えるのが大変だった」(日髙氏)。
ケンコーマヨネーズは多種多様なドレッシングやソースを販売するが、大豆ミートのためにゼロから味付けを考える必要があった。
スパイスや調味料を工夫して、大豆特有の匂いや味を抑え、限りなく肉の風味に近づける。試作を重ねるうちに、優しい薄味だったカレーが、パンやパスタ、米にも合うパンチのある味付けへと改良されていった。
飲食業界の人手不足をサポート
最終的に商品決定のゴーサインを出したのは炭井社長だ。本格的な味わいに加え、ホテルやカフェなど幅広い業態にメニュー提案できるバランスの取れた味付けが決め手となった。
「キーマカレー」と「ボロネーゼ」には、にんじん、たまねぎ、マッシュルームと大豆ミートが使われている。店で調理すると手間がかかるが、同商品ならば開封すればすぐに料理として盛り付けることも可能だ。「甘辛醤油そぼろ」も含めた3商品で約150のアレンジメニューを考案し、商品とともに提案することで、飲食業界の人手不足とメニュー開発の負担軽減をサポートする。
すでに同商品は、コンビニエンスストアの総菜や、ホテル、カフェ、ベーカリーなどに広く採用され、売上高を順調に伸ばしている。「健康志向の高まりのみならず、インバウンド需要や食嗜好の多様化にも対応できる」と、炭井社長は胸を張る。
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外食、中食産業はベジタリアン対応メニュー導入の必要性が増している。ケンコーマヨネーズに限らず、大豆ミート商品を開発する企業は増えてきている。
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