日立の新型列車、「デザインの本場」で通用する? 日本とイタリアの技術者が協力して誕生

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では筆者がイノトランスのリポートで指摘した、イギリスでは見た目が悪いと不評だった戸袋付きの乗降用ドアは、やはり日本側が提案したものだろうか。

ピアチェンツァに停車中のロック。乗降用ドアは戸袋付きだ(筆者撮影)

「誰がどの段階で、このタイプのドアを提案したのかはわかりません。ただ、このドアについては、日本サイドがとくにごり押しをしたというわけではなく、むしろイタリア人技術者の意向により、採用が最終決定しました。ドアは、列車の中でも運行中、とくに多く作動させるパーツの1つで、故障が多い部分でもあります。従来のプラグドアは、可動部分が多く壊れやすいこともあって、信頼性の高いこのドアを推す声が多かったのだと思います」

デザインに強いこだわりを持つイタリア人なので、この決定は少々意外だったが、それだけこの戸袋付きドアを信頼しているということだろう。一方、引き続きプラグドアを採用したアルストム製ポップだが、はたしてその信頼性やいかに。

パーツはほぼイタリア調達

ではほかに、日本から取り入れた技術や装置、部品などはあるのだろうか。

ロックについて車内で説明する稲荷田氏(筆者撮影)
最高時速160kmでエミリア・ロマーニャ州の平野を駆け抜けるロック。運転席はシンプルで機能的にまとめられており、各スクリーンも見やすい(筆者撮影)

「イタリアの車両については、基本的に旧アンサルドブレダ時代に付き合いがあった現地サプライヤーから調達をしています。座席もちょっと日本にはない、見た目以上に座り心地のよい座席ですが、これも地元メーカーから調達しています。空調も、日本製というイメージがありますけど、欧州のメーカーから調達しています。こうしたパーツ類は、ほぼ100%が現地調達ですね。イギリスの場合、現地調達率は約70%なので、イタリアのほうが現地調達率は高いです」

ちなみに、列車の状態をチェックするモニタリングシステムや、制御装置については、日立製作所水戸工場で製造しているとのことだ。

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