進まぬ脱炭素、大企業が政府にイエローカード G20を前に「再エネ50%」「炭素課税」を提言
6月28~29日にかけて大阪市内で開催されるG20(主要20カ国・地域)サミットを前に、大手企業や機関投資家の間から地球温暖化問題への踏み込んだ政策対応を求める声が出ている。
リコーや積水ハウス、ソニーなど、自社の事業活動で必要な電力の100%を再生可能エネルギーで賄うことを宣言した企業連合「RE100」に加盟する日本企業19社と、アメリカのアップルは6月17日付けで、日本の電源構成(発電電力量の内訳)に占める再生エネルギーの比率を2030年時点で50%に引き上げるべきだとする政策提言を発表した。
日本政府の2倍以上の数値目標を掲げる
2017年の同比率は約16%。この50%という数値目標は、現在、日本政府がエネルギー基本計画で目標としている「2030年度の電源構成に占める再エネ比率22~24%」の2倍以上に相当する。
政策提言した20社は、再エネを大量に導入するための送配電網の整備や風力発電の導入促進、需要家企業と発電事業者が小売電力会社を介さずに直接電力を売買する「直接電力購入契約」(PPA)の解禁などを提言に盛り込んだ。
6月26日には、アメリカのカリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)など世界の477の機関投資家(運用資産総額34兆ドル)が、「気候変動対策に関する政府への投資家宣言」を公表。2015年のパリ協定が定めた気温上昇を2度以内に抑制するための取り組みを強く支持するとともに、パリ協定で努力目標だとした産業革命以降の平均気温上昇を1.5度以内に抑えるべきだと述べた。
宣言文では、実効性のあるカーボンプライシング(炭素排出への価格付け)の導入や、期限を設けたうえでの世界規模での石炭火力発電の廃止も求めている。宣言文に署名した機関投資家のリストには、日本からも三菱UFJ国際投信や野村アセットマネジメント、三井住友トラスト・アセットマネジメントなど日本の大手運用会社も名前を連ねている。
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