五輪インフラにも影響、深刻な建設の人手不足 女性と外国人の活用拡大が喫緊の課題
そもそも20年の五輪が東京に決定したのは、日本のインフラ力によるところが大きい。自民党五輪東京招致推進本部長を務めた馳浩衆議院議員はこう話していた。「20年五輪を東京に招致できると確信したのは、16年の開催地であるリオデジャネイロに視察に行ったとき。工事が大幅に遅れているのを見て、インフラ整備の重要性を痛感した。それができるのは日本だけ。だから東京しかないと思った」。
問題は競技場の建設ばかりではない。たとえば東京のインフラには課題が多い。都市計画道路の整備率は60%にすぎず、区部の混雑時の平均旅行速度は時速16.8キロメートルで、全国平均(時速35.1キロメートル)の約半分だ。インフラが十分に整備されず、円滑な輸送が行われないなら、国家の威信にかかわってくる。
そこで労働者不足を解消すべく、官民が一体となって取り組み始めている。国土交通省が13年度公共事業設計労務単価を全国平均で15.1%、被災3県で21%引き上げたのはその一例。大型車両の免許など建設関係の技能や資格を持つ予備自衛官にも「即戦力になる」として関心を寄せる。
建設現場での女性の活用も注目されている。大手総合建設会社における女性の比率は10%強で、うち技術職は4%にも満たない。そこで日建連は昨年11月に「女性技能労働者活用専門部会」を立ち上げた。女性を活用できる建設分野および女性を活用するための方策について検討を行い、技能労働者としての女性の活用に力を入れる。今年2月に中間とりまとめが行われ、同月下旬には報告書を発表する予定だ。
目玉は外国人の活用
さまざまな施策の中でも目玉になるのが、外国人技能実習制度の活用だ。政府の産業競争力会議は昨年12月26日、「雇用・人材分科会」の中間整理を発表し、実習期間の延長などを提案した。具体的には3年の実習期間を5年に延長し、実習生の再入国を認め、「受け入れ企業の常勤職員総数の20分の1」の制限枠の拡大などで、不足する労働力を確保しようとするものだ。
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