ふまじめ介護 田辺鶴瑛著
「ずぼら介護」だなんて、と目くじら立てることはない。内容はごくまっとうで、親3人を介護した女性講談師による悪戦苦闘の記録である。破天荒な介護物語でありながら、「介護とは?」の基本から実践的ノウハウに至るまで、実体験に裏打ちされつつ意外性に富んだヒントが随所にある。
ただし悪戦苦闘は過去形に変わった。途中から介護をむしろ楽しもう、気楽にやろう、学べるものもあるかもしれない、というふうに考えを変えたからだ。実際、認知症の義父とのやり取りなど漫才並みに面白い。これだけ発散できて、気持ちを軽く持てれば、つらい在宅介護も乗り切れそうな気がしてくる。介護老人は千差万別で応用問題は当然残るだろうけれども。
うるさい病人は適当に無視せよ、頑張りすぎてはいけない、介護のプロに大いに頼れ、家族で分業せよ、など具体的な助言はどれも参考になる。著者の個性が効果的で、専門家ではこうは書けなかったろう。(純)
主婦と生活社 1300円
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