欧州でウケる、メイドインジャパン文具の力 元女性誌編集者が発信する、新しいデザイン

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ビジネスにおいて、デザインが戦略の重要な要素の1つであることは、言うまでもない。デザインとはいったい何なのか、なぜ重要なのか。外見、見栄えが美しいほうがいいという以上に何があるのか。商品やサービス、店舗や施設のコンセプトを人に伝え、人の感性に訴えるデザインが生まれるプロセスをたどることで、デザインが何を成しうるのかを見ていきたい。
東京・表参道ヒルズにあるマークスの直営店 「マークスタイル トーキョー」。コンセプト、デザイン、 クオリティのすべてにおいて、スタイルのある製品 がセレクトされている。

編集者的な目線で作ったダイアリー

毎年、秋から翌春にかけてのダイアリー売り場で、「EDiT」や「storage.it」などのヒット商品を中心に、約550種類を超える豊富な商品群でひときわ存在感を放つ会社がある。

その会社、マークスは、前身となる雑誌や書籍などの編集制作会社メディア・マジックのデザイン制作子会社として1986年に設立された。 設立から現在まで代表取締役を務めている髙城和彦氏は、もともとは雑誌、主に女性誌の編集者だった。

「人生を編集する」ためのダイアリー「EDiT」。時間管理だけでなく、アイディアメモや日記を記してもよい。2012年の日本文具大賞デザイン部門グランプリとグッドデザイン賞を受賞

その後、1995年にマークスはステーショナリーの製造・卸事業に進出する。当初は、オリジナル商品としてレターセットなどの紙製品を作っていた。デザイン制作は、雑誌・書籍の編集業務の延長線上であったのだが、なぜ、ステーショナリーメーカーとしての事業を立ち上げることにしたのだろうか。

「当時存在していたスケジュール帳やノートには、自分で持ちたいと思うものがほとんどありませんでした。自分で使っていたのは、海外製のステーショナリーがほとんどです。そこで、まず自分が持ちたいと思えるものを作ろうと考えたのです」(髙城氏、以下同)

そんな想いが何よりも強く込められた待望のダイアリーが、1999年に作られた2000年版でデビュー。髙城氏のダイアリーへのこだわりが存分に盛り込まれている。

たとえば、スケジュールを書き込む本文レイアウトは、横軸に日付、縦軸に時間を置いたバーチカルタイプを採用。現在でこそ、スケジュールを視覚的に把握しやすいバーチカルタイプは多くのダイアリーで使われているが、当時、国内のダイアリーで採用しているものは、ほとんど存在しなかった。

また、見開き2ページに1週間分のダイアリーを載せているが、1週間を月曜日始まりとしているのも特徴だ。日本のカレンダーの多くは、通常1週間の始まりは日曜日だが、ビジネスパーソンにとっては、仕事のスケジュールにあわせて、月曜日始まりにするのが自然な使い心地だと考えたのだ。また、海外出張や旅行の際に役立つ海外主要都市の地下鉄路線図、5カ国語の辞書・会話集、度量衡換算表、サイズチャートなど、実用的でスタイリッシュにまとめられた巻末の情報ページにも、編集のノウハウが存分に詰まっている。

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