欧州でウケる、メイドインジャパン文具の力 元女性誌編集者が発信する、新しいデザイン
実は、マークスの扱うデザインステーショナリーというカテゴリーは、世界的に見てもメジャーなマーケットではない。海外ステーショナリーの多くは、万年筆などの高級品と、スーパーで売られているような実用品に二極化しており、セレクトショップや雑貨店などに置かれるようなものはほとんどない。洗練されたデザイン、考え抜かれた機能性、所有する喜びを覚えさせてくれる質感―「素敵で快適」を追求したマークスの商品は、ヨーロッパでも新鮮な驚きをもって受け入れられたのである。
キーワードは「編集」感覚
ダイアリー以外のヒット商品も多数登場している。スライドジッパー付きポケットが特徴のノート「storage.it」は、日本、およびドイツにてデザイン賞を受賞している。
2013年にデビューした「RE:FIN[E]DPRODUCTS」シリーズにも注目したい。このシリーズは、ノートやクリアフォルダー、クリップなど、ありふれたステーショナリーに一工夫を加えて、新しい機能を発見し(re:find)、洗練された(refined)デザインという、2つの「リファインド」をコンセプトとしている。同シリーズの「ウロコノート」は、2013年の日本文具大賞デザイン部門グランプリを受賞している。
さらに、他業態とのコラボレーションによる商品開発にも積極的だ。マカロンで有名なパリのパティスリー、LADURÉEとのコラボレーション・ブランドである「Les secrets LADURÉE par MARK'S」、テレンス・コンラン、ヴィクトリア&アルバート博物館とのトリプルコラボレーション、デザインオフィスnendoとの商品開発も進行中だ。さらに、サムスンの最新スマートフォン機種「GALAXY Note 3」にスケジュール・テンプレートを提供するとともに、専用のフリップタイプのケースを開発するなど、多種多様な新しい分野にチャレンジすることも忘れていない。
小売部門では、2014年2月現在、首都圏を中心に7つのブランドで17店の直営店を展開している。自社製品、セレクト商品を交ぜて、それぞれのコンセプトごとに編集された売り場はユニークだ。
「わが社のスタッフには、編集感覚を持ってほしいと言っています。販売の現場では、今売れているものはわかりますが、次に何が売れるかはわからない。次に売れるものを作るには、世の中のあらゆる情報を観察し、流れを読み込んで、商品開発に生かすことが大切。それは、雑誌の企画を考えることにも通じる作業だと思います。その意味では、編集プロダクションとしてのDNAが生きていると言えるでしょうか」
同社のダイアリーの旗艦ブランドである「EDiT」の意味は「編集」。商品コンセプトとして「僕たちは、人生というストーリーを編集しながら生きている。感じたこと、経験したこと、夢見たこと……。それらを集めて、人生を編んでいく」と綴られている。人生においても「編集」という発想が大切であることをアピールしている。
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