「両利き経営」実現にはトップの覚悟が不可欠 変革が必要なのに「なぜ変われない」のか
たたかれないのは、抜本的変革をしていないも同然
入山:今、日本の大企業を見ていて共通するのは、経営者にも若手にも危機感があるのに、ミドル層が保守的になりがちなことです。それなりの役職に就き、家庭もあり、年齢的にも「ギリギリ逃げ切れるかもしれない」と思うのでしょう。そうなると、やはりトップが動かないといけないわけですが、冨山さんは、既存事業の縮小など大変革を迫られているトップに、どのようなアドバイスや投げかけをされるのでしょうか。
冨山:変革しようとすると、少なくとも短期から中期の時間軸では、ストレスが加わってつらい思いをする人が必ず出てきます。ずっと野球をやっていたのに、明日からサッカーをやれと言われるようなもので、自分自身のトランスフォーム(変身)を強いられ、ひどい場合は「事業売却するから、この船から降りてください」と宣告される。あるいは、評価軸が変わったせいで、安泰だったはずの執行役員や常務のポストに就けない。
そうやって光と影が出てくれば、経営者に対する批判も出てきます。そこをとにかく飲み込んで、頑張らないといけない。過激なビジネス誌に悪口を書かれるくらいでないと、何もしていないのも同然だと、役員会ではよく言います(笑)。