北海道並みに厳しい、「JR四国」の生き残り策 利便性改善狙い減便や運賃値上げの可能性も
鉄道の維持に向けた具体的内容としては、今後も継続的に取り組むべきことに、駐車場整備やパーク&ライドの推進、トイレなどの整備、ICカード導入などの利便向上策や、地域と鉄道事業者、交通事業者相互の連携などを挙げる。ことに観光面では日常利用に比して収入規模が小さいが、政府目標も見据えて、今後も鉄道事業者、自治体、団体が連携してより踏み込んだ施策を進めるべき、とする。
また、今後検討のうえ取り組むべきことに、コンパクトなまちづくりにおいても鉄道は重要な役割を担い、都市圏の公共交通利便向上は安定需要を見込めて利用増につながり収支改善にも寄与するとして、パターンダイヤの導入、フィーダー交通との連携強化、すなわち輸送面や運賃面での事業者間の連携、駅や周辺の整備、複数の交通機関にまたがる情報提供や予約決済などについて情報通信技術の活用などを挙げる。まちづくりにおいて鉄道駅を中心とすることも求めている。将来は自動運転自動車との連携もある。
なお、実際にJR四国は本年3月のダイヤ改正で牟岐線の日中ダイヤをパターン化しており、乗客にとってのわかりやすさのほか、二次交通のダイヤ調整がしやすくなるなどの効果が期待される。また、高速バス事業者との協力で大阪方面とを結ぶ高速バスで鉄道と並行する区間の途中乗降を可能とし、地域間移動の利便を向上させている。
運賃見直しの検討も?
一方、学生や高齢者などの生活のため公共交通の維持は必要だが、実情に適さなくなっている場合などには先に掲げた各交通モードの特性を踏まえて総合的に判断し、交通体系の再編も視野に入れつつの検討も必要、とする。
JR四国に対する経営努力の推進も求めている。車両や設備の維持更新や近年の気象変化、大規模地震への備えを計画的に進める必要があるとし、コストがかかる点は沿線自治体に状況を伝え理解を求める必要があるとする。また、ダイヤや利用者利便の向上、PRの強化、観光列車の充実などで収入の維持拡大、ホテルや不動産、飲食物販などの非鉄道部門拡大への最大限の努力を求めている。
経費削減については、列車の減便や駅廃止など需要に応じたサービスの精査にも踏み込み、利用者の意見やマイナス面にも留意しつつ、検討する必要があるとする。運賃面ではJR四国は四国内のほかの事業者より運賃水準が低く、とくに定期運賃は低廉なため、地域の協力や理解を得た見直しの検討を求めている。その際、教育や福祉などの観点からの負担軽減措置も自治体と検討の要があるとしている。
さらに、鉄道路線の維持に向けては財源確保が重要となる。これについては既存の支援策の継続・拡充とともに、経営環境の変化にかかわらず財務基盤の安定化が図られるスキームの導入が必要で、国への働きかけが必要といった内容も織り込み、国として取り組むべきこと、地方自治体として取り組むべきことを整理し、事業継続を可能とするスキームの再構築を図るべき、としている。部分的な設備の公的整備や保有のほか、上下分離方式などの方法論も掲げるが、一方ではその検討に慎重さを求めている。
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