スバル車がアメリカで売れ続ける「2つの要因」 現地で試乗したSUV「アセント」の乗り味は?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
スバル「アセント」の後ろ姿(筆者撮影)

フットワークはキビキビというよりも重厚な味付けで、穏やかな特性ながらも操作に対して忠実なステアリングとハンドリング、前後バランスがよく安心感の高い4輪の接地性、無駄な動きが抑えられた抜群のロールコントロール、スバル最良と言ってもいい直進安定性の高さ、アタリの優しいフラットな快適性、大きく向上している静粛性を実現している。

乗る前は「北米向けなので大味なのでは?」と思っていたが、実にスバルらしい3列SUVに仕上がっていた。ただ、「日本へ導入すべきか?」といわれると、さすがにサイズが大きすぎる。せめてマツダCX-8くらいの全幅に抑えられれば何とかなりそうかも!?

トヨタとEVを共同開発

このように順風満帆なスバルの北米戦略だが、この流れを日本にそのままスライドできるかというと、そうはいかない……。

例えば、安全性に関しては今も「アイサイト神話」があるものの、最近はライバルメーカーの進化も相まって優位性は減っている。信頼性に関してはハード面での優位性はあるものの、完成検査問題/リコールも相まって決して高いとはいえない状況である。

また、今もコンベンショナルなガソリン車がメインストリームの北米市場に対して日本市場は電動化の流れが著しいが、独自開発の1モーター「e-BOXER」だけでは役不足は否めない。しかし、先日トヨタと中・大型乗用車向けのEV専用プラットフォーム、およびCセグメントクラスのSUVタイプのEVの共同開発を発表。個人的には、水平対向エンジン/シンメトリカルAWDというスバルのコア技術を使わず、スバルの“味”をどう構築させるのか、非常に興味がある部分だ。

また、北米と同じように「求めるクルマが適切なタイミングで発売されているか?」という部分は、スバル入門者に対してハードルを下げる役目のモデルは用意されているが、コア層向けの「さすがスバル!!」と思ってもらえるようなプラスαを持ったモデルは残念ながら減っている。例えば、ほかのメーカーが積極的に採用を進めるMTは今ではWRX STIのみ……。このあたりはまもなく世代交代と噂される「レヴォーグ」と「WRX」に期待したい。

日本にはアメリカの「LOVEキャンペーン」を行わなくても、スバルを愛してくれる「スバリスト」が数多く存在する。ただ、ちょっと優しすぎるのと「あばたもえくぼ」な部分があるので、決して彼らに甘えてはいけない。現在、スバルは「モノを作る会社から、笑顔を作る会社に」をスローガンにしている。笑顔を作るためには、現状に満足せずスバルらしい独創的な技術をより磨いてほしいと願っている。

山本 シンヤ 自動車研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事