「ほっともっと」赤字転落の先に迎える正念場 商品戦略が迷走、女性客取り込み策も不発に

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プレナスは今2020年2月期について、売上高は前期比3.5%増の1592億円、営業利益は21億円の黒字を見込んでいる。広告宣伝費などの経費を抑制するが、計画数値が未達となる可能性がある。

女性客に再びアプローチすべく、100円サラダを添えた「プラスベジ」を4月から展開している(撮影:記者撮影)

今年度に注力するのは、これまで取り込めなかった女性を中心とする健康志向顧客への再アプローチだ。ほっともっとの店頭に足を運ぶと、空揚げ弁当といった定番商品に小さなカップに入った100円サラダを添える「プラスベジ」(4月から展開)を宣伝するポスターが目に入る。ほかにも、30円で弁当の白米をもち麦入りのご飯へと変更することが6月から可能になった。

ただ、女性客獲得に失敗してきたこれまでの経緯からすると、こういった新施策がどこまで顧客に受け入れられるかは不透明だ。プレナスは、ほっともっとの2020年2月期の既存店売上高が前期比1.3%増になると見込んでいるが、4月は前年同月比0.5%減、5月が同2%減と、逆に前年割れとなっている。

達成のハードル高い店舗出店計画

店舗数拡大にも懸念がある。プレナスはここ数年、コンビニやドラッグストアなどと出店立地をめぐって激しく争い、新店計画が当初計画に達しないことが多かった。2017年2月期は期初の純増59店の計画に対し、純減28店で着地。2018年2月期も191店の純増を見込んでいたが、ふたを開けてみれば62店の純増にとどまった。

2019年2月期は計画どおりの純増25店となった。2020年2月期は純増32店の計画に対し、5月時点で出店4店、退店は13店にのぼる。プレナスはほっともっとの店舗を2020年度までに3000店まで増やす計画だが、現時点の出店ペースを考慮すると達成へのハードルは高いと言える。

ほっともっとにとって店舗数が重要なのは、80億円を投じて竣工した埼玉県にある新工場の稼働率に影響するからだ。新工場は、調理作業の内製化率を向上させることによって原価率を下げる狙いで、2018年10月に本格稼働した。2019年2月期に23.9%だった空揚げやハンバーグといった主力食材の内製化率を2020年2月期は46%まで引き上げる計画だ。

ただ、この戦略は店舗拡張に伴ってスケールメリットが出ることを前提としている。新店計画が想定どおり進まなければ、原価率引き下げが進まないだけでなく、減価償却費の負担が重くのしかかることになる。今2020年2月期の減価償却費は、前期比6.4億円増の68.9億円を見込んでいる。

他業態との競争を勝ち抜き、地に足のついた成長戦略を描けるのか。プレナスは正念場を迎えている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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