日本とフランス「稼ぐ女性の服装」はかなり違う 10着のワードローブでやりくりはありえない

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エマニュエル:確かにフランスだと、省庁だとかそういった一部の企業を除いては、全員がスーツを着る習慣はなくなった。ただ、直接顧客と面と向かって仕事をする、例えばコンサルタントとか弁護士なんかはスーツの割合が高い。最近は多くの企業で「カジュアルフライデー」といって金曜日はカジュアルな服装で仕事をしようという取り組みがされている。僕の職場でも実施されているんだけど、朝に着ていく洋服を選ぶのが面倒くさくて結局スーツを着てしまうんだ。でも、こういう理由でスーツを職場に着ていく男性も結構いると思う。

男性のほうは女性のように、大企業の管理職だからといって特別服装に気品を求めるなんてことはないから、管理職と一般職との違いがそれほど顕著じゃないかもね。

スーツが日常的な日本では、そのためのビジネスも進化

くみ:一方、日本はスーツで通勤する人が大半だから、そのためのビジネスも進化していると改めて感じる。ワイシャツのクリーニングがとにかく早くて安いのもその一つ。安いところは即日仕上げで1枚300円未満というところも珍しくないみたい。フランスはドライクリーニングを発案した国らしいけど、クリーニング代がとにかく高くて時間もかかるから、ワイシャツは基本クリーニングに出す日本とはだいぶ違うよね

エマニュエル:そうだね、こういったサービスは一般的にどれもフランスのほうが高いだろうね。ワイシャツだと1枚4ユーロはするし、仕上がりも翌日以降だったり。家事代行の人を呼んでワイシャツの洗濯・アイロンがけを頼んでいる人もいるけど、自分の家でやっている人がほとんどじゃないかな。

くみ:あとは、日本は量販で比較的安いスーツ専門店があちこちにあるのも驚き。同じ型のジャケットもズボンも、女性はさらにスカートも、ほぼ全サイズそろっていて自分のサイズに合わせて組み合わせて2万円ほどで買える。もちろん、日本にいながらにして、ヨーロッパやイギリスのブランドで、オーダーメイドで作る人もいるけれどね。

エマニュエル:フランスでは、オーダーメイドは本当に高収入の人しかしないかな。既製品の安いスーツもあるけど、一般的でちゃんとした品質のスーツを買うなら400~800ユーロくらいで、買ったら自分で仕立て屋にもっていってプラス50ユーロぐらいで調整してもらう。

くみ:フランスは乾燥してるから、夏でも猛暑のときでなければジャケット着ていてもちょうどいいくらいよね。日本はこれから湿度も上がって、クールビズであっても大変だよね。

エマニュエル:僕も日本で研修していたときは、真夏にスーツとネクタイで外を歩き回るのがすごくつらかったのを覚えてる。当時の写真を見返しても、髪の毛がびしょぬれの写真ばかりだし。

フランスで猛暑日にスーツなんて着ていたら、逆に印象が悪かったり、どんだけ気取ったやつなんだってバカにされるだろうね。日本も夏の間くらいは気候に合ったもうすこし涼しい格好で仕事できるようになればいいんだけどね。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

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ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

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エマニュエル・アルノー 小説家

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Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

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