「ゾゾスーツ=失敗」と考える人によくある盲点 アマゾンも「このトレンド」を模索している
また、アマゾンも現在、強みであるビッグデータとデジタル活用によるマス・カスタマイゼーションPBのあり方を模索している。
アマゾンは、アメリカでは2016年からアパレルのPBを始めており、ファストファッションから子供服まですでに60以上のPBを立ち上げている。このPB事業でマス・カスタマイゼーションが導入されるのも時間の問題だ。
実際、アマゾンはこれまでの服づくりとは異なる、自動化が進んだオンデマンドアパレル製造システムを構想し、2017年にはいくつかの技術特許を取得している。
ゾゾスーツは本当に失敗だったのか
イギリスのファッションECエイソスは、売上高3550億円(2018年8月期)のうち、海外で6割以上、PBで約4割を稼ぎ出している。
また、アパレルにかぎらず消費財全体を見渡すと、現在さまざまなプレーヤーが「マス・カスタマイゼーション」に取り組みはじめている。
要は、ZOZOがゾゾスーツによって、「海外」×「PB」を志向した戦略そのものが誤りだったわけではない。
ZOZOのPB事業の誤りは、スピードや話題性を優先し、計測手法、生産管理、製品ラインナップをはじめとするビジネスモデル全体の完成度が低いまま展開を急いでしまったことにある。すなわち、戦略の「実行」に問題があったのだ。
中長期的に国内市場の縮小が避けられない中では、日本のアパレル企業は海外市場を積極的に開拓すべきだ。実際、業績好調のユニクロも無印良品も成長のエンジンは海外にある。その意味では、ZOZOが目指したものは正しかったと言える。
メディアが喧伝する表面的な言葉に踊らされず、「物事の本質」を見抜くことが必要である。
書籍『2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日』の第2刷の一部におきまして、弊社の編集過程で誤りがありました。著者ならびに読者の皆さまに心からお詫びの上、以下のように訂正させていただきます。
224ページ前から5行目
誤:「約5000億円」
正:「約500億円」
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