日経平均が「消費税10%」でも下がりにくい理由 米FOMC後の「市場の反応」次第では小波乱も
これを見てわかる通り、マイナス66.0のリーマンショックは飛び抜けている。まさに「100年に1度」の数字だ。あの東日本大震災の影響が最も厳しく現れた2011年4~6月期でさえマイナスは23.3。増税は1度は延期されてはいるが、「リーマンショック級の事象」などというありそうもない高い基準を作って「増税ありき」だったのではないか。今回のマイナス10.4が、安倍首相が言う「悪夢のような民主党政権」時代の最終盤である2012年10~12月期よりも悪いにもかかわらず増税を実行する方針なのだから、それは明らかだろう。
日米の金融政策によっては波乱も
さて東証1部の売買代金は6日続けて2兆円を割れ、7日(金)には「メジャーSQ」(先物とオプション双方の特別清算指数の算出日)にもかかわらず、かろうじて2兆円に乗せると言う記録的超閑散状態が現れた。これを「陰の極」と呼ばずに何と呼べばよいのか。
「相場はG20前の6月のSQ後に動き出す」(つまりそろそろ)という説も根強い。理由は今週17日~月末28日までの配当金支払いが約4兆8000億円もあるからだ。多くのファンド筋はすでに先物で「再投資」をしているが、配当金再投資による現物買い効果は大きい。
一方、与野党は12日、安倍首相と野党の党首討論を19日に開くことで正式に合意した。野党各党は、夫婦の老後資金として公的年金以外に「30年間で約2000万円が必要」とした金融庁の試算を巡り、首相を追及する。野党がまったくの不利と思われていた参院選の風が変わったかもしれない。場合によっては「内閣不信任案」提出から衆議院解散の可能性もゼロではなくなった。
日経平均株価の引け値も2万1116円とSQ値の2万1060円を上回り、今週への期待を繋いだ。ただホルムズ海峡近くでの日本船舶への攻撃が今後アメリカの市場でどう評価されるか心配だ。
日本にとっての中東問題は、原油依存の観点から極めて重要だ。だが中東諸国との伝統的友好関係があるということもあり、「紛争当事者としての日本」という認識は薄かったように思える。しかし、この日本タンカーへの攻撃で、日本が中東紛争の枠の中に、名実ともに入ってしまったのではないか。参議院選挙前にポイントを上げようとした安倍首相のイラン訪問の思惑は、まったくの逆効果となった。
それにしても、攻撃したのはだれか。アメリカ・イラン内部、それぞれの「対立緩和」を望まない筋だろうか?同様の意図を持ったサウジアラビアやイスラエル等の筋だろうか?アガサ・クリスティーの小説よりもミステリアスではないか。
今のNY株は、軟調な経済指標が出ても「早期利下げ」への好材料と取るほど、利下げを織り込んでいる。だが、利下げは7月が有力とされるが、もし今週の18日(火) ~19日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げがなかったらどう反応するか?また、利下げをしても材料出尽くしになるまいか?また利下げがあったとしても、19日(水) ~20日(木)の日銀金融政策決定会合でアクションがなかったら、ドル円相場はどう動くのか?こちらも心配だ。
これらのことを総合的に勘案して、今週の日経平均予想レンジは2万700円~2万1400円とする。
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