世界初!「キットカット」専門店は何を狙う 池袋のデパ地下に現れた、異色の高級スイーツ

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3者のタッグでキットカット専門店は生まれた(左から、中島店長、高木氏、石橋常務)

この専門店の構想が生まれたのは2005年ごろ。「ル パティシエ タカギ」を展開する有名パティシエの高木康政氏から、「驚きや感動を与える商品を作ろう」と提案されたのがきっかけだった。

高木氏は欧州で権威あるパティシエのコンクールにおいて日本人最年少で優勝するなど、輝かしい実績を持つ。2003年にキットカットの開発に携わって以来、限定商品などを監修してきた。

とはいえ、いざ新商品の開発に着手したものの、どのように高級感を演出するか、試行錯誤の繰り返しだった。高木氏の協力を得ながら、過去に使用したことのないフレーバーを試したり、通常のキットカットでは機械で仕上げてきた部分を手作業によって丁寧な仕上げにするなどして、徐々に納得できる商品に近付けてきた。

商品が形になりつつある中、次に待ち構えていたのが店舗開発というハードルだ。食品メーカーであるネスレには、当然ながら小売りのノウハウはない。そこに現れた強力なパートナーが西武百貨店だった。「西武さんと一緒にやることでたくさんのことを学べた」(石橋常務)。西武側も「ブランド力のある新しいショップが新しい味を提供することで、お客さんがたくさん来ることを強く期待している」(中島信一・池袋本店長)。

新販路開拓の試金石

目下のところ、スーパーやコンビニで販売されているキットカットの売れ行きは順調だ。「販売に関する数字は公表していないが、2012年に国内のチョコレートカテゴリーでシェア1位を取り、その勢いは2013年も続いている」(ネスレ日本)。ただ、中長期での成長を考えたとき、これまで手を付けてこなかった百貨店という販路を開拓することは必要な手だてだ。

「まずは1店舗目なので、試験的な意味合いもある。出てきた反省点を改善に生かし、西武さんとも相談しながら今後のことは決めていく」(石橋常務)

競争が激しい東京のデパ地下で、一般消費者に馴染み深いチョコレート菓子はどれだけの存在感を示すことができるのか。消費者の嗜好が多様化する中、今後のキットカットのブランド戦略においても大きな試金石となりそうだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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