ベンツAクラス「A200d」乗ってわかった最新進化 力強さと上質さを両立するハッチバックの実力
ハッチバック×ディーゼルという特別な価値
80年代のゴルフやファミリアで一世を風靡したハッチバックは、2020年代を前にしても魅力が薄れていない。なにより機能的で、扱いやすい。好きなハッチバックでゴルフだろうと山登りだろうとサーフィンだろうと出かけると、気分が若々しくなる。
最新のお勧めは、メルセデス・ベンツ「A200d」だ。日本では2019年3月25日にAクラスのラインナップに追加されたモデルで、「ハイ、メルセデス」という呼びかけで起動するボイスコントロールシステムを備えるいっぽう、力強いエンジンパワーと、上質なステアリングフィールという基本がしっかり出来ている。
最新世代の2リッターディーゼルエンジンは、CクラスやEクラスに一足先に搭載されて実力証明ずみのユニットだ。コンパクトなサイズとアルミニウムのシリンダーブロックなどによる軽量化が特徴で、さらにもうひとつ、徹底的に排ガスのクリーン化が追究されているのも大きなセリングポイントである。
後輪駆動主体のCクラスとEクラスでは縦置きされていたユニットだが、A200dのために横置きとし、Aクラスでは初めて8段と多段化されたツインクラッチ式変速機を組み合わせている。
EU圏で2020年に施行されるきびしい排ガス規制(ディーゼルは「ユーロ6d」)を前倒しにクリアしている点は、特筆ものだ。排ガス中の窒素酸化物を窒素と水に分解するアドブルーと触媒の組み合わせは従来からのシステムだが、A200dではさらに触媒の数を増やして、ごく微量のアンモニアの排出まで抑制している。
正式な燃費は、2019年6月をめどに始まる納車前に発表される予定だが、日本で長い距離を走ったひとによる実燃費はリッターあたり25キロ前後とかなり良好だ。
ディーゼルの美点は、燃費と燃料代の低さと、それに低回転域からのたっぷりしたトルクにある。A200dではごく低い回転域をのぞけば、1500rpmあたりから力が盛り上がっていく感覚だ。実際に320Nmの最大トルクは1400rpmから発生する設定である。