キウイのゼスプリ「アゲリシャスCM」人気のワケ 自己最高の好感度を記録した要因は何か
2015年以前には、藤原紀香や石原さとみ、剛力彩芽といった、そうそうたる顔ぶれのタレントがCMキャラクターを務めてきた。彼女たちがキウイを食べて元気になったり、栄養バランスのよさを伝えたりする内容で、主に成人女性から高評価を得ていたが、キウイ・ブラザーズが登場してからは子どもも含め支持層の拡大に成功している。
とくに今期は味や栄養素といった機能性ではなく、“気分をアゲる”という情緒的な価値を訴求し、ブランドとして自己最高のCM好感度を獲得した。
未完成のミュージック・ビデオは参加型
4位に入ったCMは、ほかの果物のキャラクターを「一緒にやろうよ」「バイト代払うよ」とアゲリシャスダンスに誘うもので、検索窓の「アゲリシャス バイト」というワードでホームページへの誘引を図っている。
ホームページにはキウイ・ブラザーズ自作の未完成ミュージックビデオが公開されており、「みんなで完成させたビデオでめざせ、音楽番組出演!」と消費者参加型のキャンペーンを展開している。
ほかにも“食べるバイト”=キウイを食べて動画を撮影する、“拡散するバイト”=ゼスプリ公式アカウントの投稿をリツイートするといった仕事が紹介されており、“バイト代”として抽選でキウイ1カ月分がプレゼントされるというもの。
キャンペーンを話題化させるために自然発生させたい消費者の行動を、企業が先手を打ち「バイト」として具体的に示している点は、非常にユニークだ。
「音楽番組出演」という目標の共有によってブランドと消費者の距離をぐっと近づけたのではないだろうか。
こうしたSNSを使ったキャンペーンへ積極的に参加するのは、主婦層というよりも中学生や高校生と思われる。だがこのキャンペーンは中高生に対するキウイの購買行動促進といった、売り上げに直結する近視眼的な発想によるものではなく、ブランドのプレゼンスを上げ“楽しい遊び友達”のような感覚で、ブランドに愛着を感じてくれるファンを増やすという意味合いが大きいはずだ。
商品特性に明確な差異のない市場において、また、これから本格化する人口減少に向けて、“選ばれるブランド”を目指すという姿勢はますます重要になる。ブランドと消費者は、ただ「売る」「買う」というビジネスライクな関係性ではなく“好き”“応援したい”という気持ちでつながる絆を作ることが求められているのではないだろうか。
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