ただ、「電話で直接話すのはつらいし、気まずい感じにもなるからメールでいい」という声や、「辞退の連絡がある状況から気持ちを覆すことはとても大変でほぼ無理だから、メールで十分」という意見もありました。
反対に、「電話では学生の本音は聞きにくいし、お互いにその場で冷静に考えることはできない。だから、まずは会って話すべきだ」という考えを持つ企業や人事担当者もいます。
とくに「絶対にこの人材が欲しい!」と思っている学生や、上司から「絶対にその人材を採用しろ!」と激しく言われている学生、さんざん時間をかけてきて、まさか内定辞退をするとは想像もしていなかった学生などについては、何とかして自分たちの企業に気持ちを向けさせたいという思いから、「直接会う機会を作りたい」と言います。
「辞退は直接会って伝えなければならない」というルールを学生に事前に伝えて、心理的ハードルを設け、辞退そのものを防ごうとする企業もあります。
このように企業、人事担当者が望む内定辞退の伝え方はそれぞれに異なります。ただ、1つだけ共通で、絶対にこれだけはやめてほしいという辞退方法があります。
連絡がないと、ほかの就活生に影響を与える
それは、何も連絡がない、連絡がつかない「サイレント辞退」、さらにほかの行きたい内定先が決まっているのに、いつまでも内定辞退の意思を表明しないケースです。
内定を伝えた以上、そこに採用責任が生じるため、学生の意思なしに、勝手に内定を取り消すことはできません。しかし、「サイレント」のままだと、辞退なのか、それとも不測の事態で連絡がつかないだけなのかわかりません。判断がしばらくつかないために、人事担当者はその間、前に進むことができません。明確に辞退をしたとわかれば、その辞退分を埋めるために、ほかの選考者に内定を出すことができます。
もしかしたら、ほかの内定企業とどっちを選ぶか悩んでいるか、辞退の旨を伝えられないまま日にちだけが経っている状況かもしれませんが、そのために、多くの人に悪影響を及ぼしていることを忘れてはいけないと思います。
また、これまで一生懸命選考に向かってきてくれたのに、いろいろ話してくれたのに、急に連絡がなくなるという事実は、単純に人として心が傷つけられるのも事実です。
「そんなこと、もう慣れたよ」と、言って笑い飛ばす人事担当者もいますが、自分の周りには、「連絡もできないような人間なら、採用せずに済んでよかった」と強がりをいいながら、「あの言葉とか、笑顔とか、全部嘘だったのか……。ちゃんと向き合ってきたつもりだったのに……」「連絡もしてもらえないような関係しかつくることができていなかったのか……」と嘆く人事担当者が多くいます。
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