iPhoneのアプリは新世代でここまで進化する

「iTunes終焉説」はミスリードだ

今年は、平易な文章で日付や場所の情報を含むToDoリストを作成できる機能が、全面的に刷新されたリマインダーアプリに採用された。この機能も、ある人気のToDoアプリが実装してきた機能だ。

またMacのサブディスプレーとしてiPadを活用できる「Sidecar」と呼ばれる仕組みがmacOS CatalinaとiPadOS 13に組み込まれたが、これも「Duet Display」や「Luna Display」が開拓した分野だった。そうした光景を見て、開発者のみならず、ユーザーである筆者も複雑な心境を隠すことができない。

アップルは「競合アプリは大歓迎だ」との姿勢を貫いている。最大限によく解釈するならば、アプリ開発者が考え実装した機能がiOSに採用されることは、アップルがiPhone体験に必要で、より広い人々に提供すべきと考えたからだろう。

カレンダー、リマインダー、メモ、Safari(ウェブブラウザー)、メール、ミュージックなど、ほぼ全方位でアップルはアプリ開発者の競合となっており、そこに手加減はない。

しかしアプリのダウンロードやアカウント作成の手間がない純正アプリは、圧倒的に有利な条件であることも確かだ。アップルは競争することでiPhoneアプリの世界がよりよくなっていくと考えているなら、ダウンロードしてまで使いたくなる、コストを払いたくなるアプリを作れ!と厳しい要求を突きつけているようにも見える。

それも含めて、世界最大の規模と収益力を誇るモバイルアプリストアが成立し、これを受け入れている開発者が多いということだろう。

「iTunes解体」に対する誤解も

App Storeは12年前に登場し、それまで紙箱に入って流通していたソフトウェアを、デジタルダウンロードによる無料配布・有料販売へと転換させた。そのことが、開発者が口にする「ソフトウェア開発を、個人でもグローバルに参画できる環境」を実現した。

アップルのデジタルダウンロード販売のビジネスモデルとストアの経験は、iTunes内に音楽ダウンロードストアを設けた「iTunes Music Store」で、2003年4月にアメリカで始まった。iTunes自体は2001年に登場し、その年の11月に第1世代iPodが登場してから、iPodに楽曲を転送する役割を持つ「音楽管理・再生アプリ」として18年の歴史を持っていた。

アップルはWWDC19で発表した最新のMac向けソフトウェア「macOS Catalina」で、ソフトウェアとしてのiTunesを廃止することを決め、後継アプリとしてミュージック、ポッドキャスト、Apple TVの3つのアプリを用意すると発表した。この構成は、メディアの種類ごとにアプリを分けるiOSと同じ考え方だ。

日本の大手新聞やテレビ報道で「ダウンロード時代の終焉」という誤解が広がっている。しかしこれはミスリードだ。アップルはiTunesアプリを廃止しただけで、iTunes Storeでの音楽販売を廃止したわけではないからだ。

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