iPhoneのアプリは新世代でここまで進化する 「iTunes終焉説」はミスリードだ
音楽市場規模世界トップのアメリカでは、音楽のデジタルダウンロードは右肩下がりで減少しているが、それでも2018年に9億8000万ドルの売り上げと5200万人のユーザーが残っている。また市場規模世界2位の日本でも、やっと昨年、ストリーミングが売上高349億円となり、初めてダウンロード販売(256億円)を上回ったばかりだ。
Apple Musicを見ていると、アーティストは同じアルバムでもストリーミングサービスとダウンロード販売で配信楽曲を変え、うまく使い分けてマーケティングしている様子がうかがえる。まだまだ市場が残るダウンロード販売を担うiTunes Storeを廃止することにあまりメリットはない。
そこでアップルは、macOS Catalinaで導入されるミュージックアプリにストアでの購入機能を持たせ、iPhoneやiPod touch、iPadへの音楽転送の管理も行う方式を取る。
行っているのは、ストア周りの体験の整理
これはコンテンツ配信にもアプリ配信にも共通していることだが、アップルはコンテンツの種類ごとにアプリとストアや検索を用意し、ユーザー体験をよりわかりやすく整理している、ということだ。
iTunesにはかつて、音楽、ビデオ、iPhoneアプリ、着信音、Podcast、書籍の管理と購買の役割が与えられてきた。
WWDC19の基調講演でソフトウェアのトップであるバイスプレジデント、クレイグ・フェデリギ氏も「これ以上よくする方法はない、よくやった」とねぎらいの声をかけ、コンテンツの種類ごとに音楽、ビデオ、書籍、ニュースポッドキャストの各アプリを用意し、ストアも各アプリに分割した。
そのうえで、
・音楽にはApple MusicとiTunesストアでのダウンロード販売
・書籍にはApple Booksストア
・ニュースには雑誌読み放題となるApple News+
・ビデオにはApple TV+やApple TV Channels、そしてiTunesストアでのダウンロード販売やレンタル
と、メディア消費アプリとサービス・販売・レンタルを組み合わせる「体験の整理」を完成させた。
同じことが、今度はデバイスとアプリの間でも起きようとしている。
これまでiPhoneとApple Watchのアプリは一緒に配信されてきたが、新たにApple Watchアプリが登場した。これによって、iPhone・iPod touch、iPad、Apple Watch、Apple TV向けにそれぞれApp Storeが用意され、ユーザーも開発者も、各デバイスごとのアプリに集中できるようになった。
アップルにとってサービス部門はこれからの成長の源泉となっており、依然としてアプリの手数料収入は要だ。ユーザー体験の整理とマーケティングのしやすさを確保し、開発者を機能競争でムチを打ちながら、ユーザーに体験を届ける態勢を整え終えたのではないだろうか。
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