雪印の乳業回帰の茨道、日本ミルクと経営統合 

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雪印の乳業回帰の茨道、日本ミルクと経営統合 

雪印乳業は日本ミルクコミュニティと経営統合し、10月に共同持ち株会社「雪印メグミルク」を設立する。牛乳ブランド「メグミルク」を展開する日本ミルクと、チーズやバターで首位の雪印。2008年度の業績を単純合算すると売上高5250億円、営業利益120億円と、2位の森永乳業に肉迫する。

会見で日本ミルクの小原實社長は「市乳(牛乳)が伸び悩む中、70年の歴史を有する雪印の研究開発力で高付加価値品を提供したい」と狙いを語った。一方、雪印の高野瀬忠明社長は「統合は過去の雪印に戻るのではなく、次の世代に向けて成長するための出発点」と強調した。

「雪印牛乳」復活も

そもそも日本ミルクは、雪印の市乳部門と全国農協直販、全国農業協同組合連合会系のジャパンミルクネットの3社合弁で発足。00年の集団食中毒事件、02年に発覚した子会社の食肉偽装事件などで経営悪化した雪印が、不振の市乳を分離した経緯がある。

設立当初、赤いパッケージのメグミルク牛乳を引っ下げて、派手な広告宣伝を展開した日本ミルク。だが販売は伸び悩み、発足後初の03年度決算は132億円の営業赤字、債務超過に陥った。その後、工場閉鎖や物流・営業拠点を再編し、04年度に黒字化。06年に農林中金の支援で債務超過も脱した。

だが肝心のブランド育成は道半ばだ。頼みのメグミルク牛乳は苦戦を強いられ、ヨーグルトや乳飲料でもヒット商品が不在。経常利益は05年度の41億円をピークに、07年度は25億円に縮小。4月には原料乳価の値上げが控えるなど、経営環境は厳しい。

一方、雪印は事業リストラを進めた結果、03年度に黒字浮上。その後もコスト削減と並行して、高収益のチーズ事業を育成した。復配も果たし、再建にメドがついている。

今回の統合で事業領域が広がった雪印は、健康食品など新規事業も強化する。さらに「減少する国内の乳資源を確保できる」と原料調達のメリットを掲げる。乳製品に特化する雪印の原料調達先は、北海道の生産者団体ホクレンのみ。一方、全国13工場を持つ日本ミルクは九つの生産者団体と取引する。規模拡大で川上への発言力は増し、競合の明治乳業、森永乳業とも交渉力で肩を並べることになる。

日本ミルクの小原社長は「ニーズがあれば(雪印乳業の全国販売を)前向きに検討したい」とスノーマークの牛乳復活にも意欲的だ。だが競合からは「雪印牛乳が復活しても、昔の強い雪印には戻れない」と余裕の声も聞こえる。総合乳業メーカーへと回帰した雪印だが、その実力値は未知数だ。

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(佐藤未来 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済)

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