これは、私が講演を行ったとき、会場のママさんスタッフに聞いた話です。ある日、その人の小学6年生の子どもが学校で行われたテストを持ち帰りました。その子は、国語の記述式問題のところを見せながら次のような不満を口にしたそうです。
「この問題、最初はマルがついていたのに、後でサンカクになって、半分の5点になってる。こっちの問題は、最初サンカクだったのに後でマルになってて、これはうれしいけど……。でも、この問題は最初サンカクだったのが後でバツになってる。先生は、なんでこんなに丸付けのときに間違えるのかな? バツならバツって最初からつけてほしい」
これがマルなら、さっきのあの子とあの子のは…?
私はこの話を聞いて、自分も教師だったとき国語の記述式問題の採点で苦労したことを思い出しました。本当に、国語テストにおける記述式問題の採点は、教師にとって悩ましいものです。
同じ1つの問題について、はじめは、「これはマル」「あ、これはバツだな」「これはマル」などとつけていきますが、そのうちにマルかバツか微妙な解答が出てきます。マルにはできないけど、バツでもないという解答です。
その場合、部分点をあげるためにサンカクにします。そして、また続けていると、マルとサンカクの中間くらいの解答が出てきます。そこでまた困ります。そして、「う~ん、これはマルでいいかな……」となったり、「これはやっぱりマルにはできないからサンカクだな」となったりします。
ところが、そう決めた瞬間、今まで丸つけした子の解答を思い出して、「これがマルなら、さっきのあの子とあの子のもマルにかえなきゃ」となることがよくあります。あるいは、その逆もあります。
それで、そこまで採点したものをもう一度最初から見直してサンカクをマルにかえたり、その逆をしたりします。ところが、それで終わればいいのですが、また採点を続けているうちにさらに微妙な解答が出てくることがあります。
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