日産の「手放し運転機能」は本当に安全なのか 今秋発売予定の「スカイライン」に搭載予定

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運転支援機能は、将来の自動運転に結び付く技術で、ドライバーの疲労を軽減するから安全性を高める効果も得られる。以前のクルマには装着されない新しい機能だから、新車の購入を促すメリットも発揮するだろう。

しかしその一方で、完成された信頼性の高いクルマのメカニズムにおいて、性能に限界のある頼りない機能でもあるのだ。

使い方は難しいが、先に述べたように靴底をペダルに向けておき、操舵支援が手放しを可能にしても、両手はステアリングホイールに添えておくのが好ましい。ドライバーの頭脳をつねに「運転モード」にしておきたい。

肝心なのは安全性の向上

そして「運転支援機能を監督する」という気持ちを持つと、ドライバーに適度な緊張が生まれる。また意外に楽しい。「ほら、今の減速タイミングが少し遅れたから、ショックもちょっと大きかったよね」とか「おっ、今の加速の仕方は滑らかでいいね。運転の先読みが上手になったね」という具合に、クルマが擬人化されるというか、妙な連体感が生まれるように感じる。

クルマの運転は人馬一体などといわれ、運転支援機能はこの対極のような位置づけだが、実際に使うと新しい人馬一体を感じる瞬間がある。それは馬を乗りこなすというよりも相棒に近い。

つまり将来性の高い技術だが、もっと大切なのは安全性だ。運転支援機能は派手で、使用頻度も高いから興味を引きやすいが、カメラやレーダーなどのセンサーとそのユニットは、本来安全性を向上させるためにある。

「プロパイロット2.0」の報道発表でも、肝心の安全性の向上については語られなかった。安全性が最上位で、運転支援はその下に位置する順序を間違えてはならない。まず実現すべきは、交通事故の発生をゼロにすること、これは今の車両開発にとって最優先で実現すべき課題だ。運転支援機能はその後でよい。

渡辺 陽一郎 カーライフ・ジャーナリスト

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わたなべ よういちろう / Yoichiro Watanabe

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまにケガを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人たちの視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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