日産の「手放し運転機能」は本当に安全なのか 今秋発売予定の「スカイライン」に搭載予定
それなのに各メーカーの運転支援機能の取扱説明書を読むと、「加速が必要な場合や先行車に接近しそうになったときは、アクセルペダルまたはブレーキペダルを踏んで、適切な加減速を行ってください」とか「性能には限界があるため、システムに頼った運転はせず、つねに安全運転を心がけてください」などと書いてある。ペダルやステアリングの操作を車両が代行する機能なのに、制御には「限界がある」と自車に対して注意を呼びかけているわけだ。
今日のクルマは進化した商品だから、制御の矛盾はほとんどない。その意味で運転支援機能は、きわめて珍しい未完成なものといえるだろう。
配慮が足りないメーカー
そうなると使い方が難しい。普及の進んだ車間距離を自動制御できるクルーズコントロールの作動中でも、ドライバーはつねにアクセル/ブレーキペダルを踏める姿勢を整えておく必要がある。足を投げ出したり、膝を曲げてアグラをかくような姿勢では、素早くペダルを踏めないから絶対にダメだ。靴底を床に着ける姿勢も好ましくない。ツマ先を持ち上げて、足をペダルまで持っていくのに時間を要するからだ。靴底はペダルに向けておく必要がある。
ペダルを踏まずに、「靴底をペダルに向ける姿勢を取れるのか?」と思うが、アクセルペダルがオルガン式(ペダル形状が吊り下げではなく、床に接しているタイプ)であれば具合がいい。右足をアクセルペダルに軽く乗せておけるからだ。この姿勢なら、通常のアクセルペダルを踏みながら走るときと同じだから、緊急時にブレーキペダルへの踏み替えがしやすい。
試しにアクセルペダルではなく、ブレーキペダルに右足を乗せてクルーズコントロールを作動させたが、強い違和感が生じた。ふだん長時間にわたって右足をブレーキペダルに乗せて運転することがないからだ。
ただしアクセルペダルが吊り下げ式の場合は、右足を乗せにくい。ペダルの角度が合わず、踏力も概して軽いから、アクセルペダルを踏み込みそうになる。だからといって無理な姿勢を取れば、右足が疲れてしまい、クルーズコントロールを使う意味も薄れる。右足の靴底をペダルに向けて床の上に置くなど、緊急時に素早くペダル操作を行える自分なりの姿勢を身に付けたい。
メーカーも配慮が足りない。ホームページ、車両カタログ、取扱説明書を読んでも、クルーズコントロール作動中の運転姿勢や右足の置き方については何も記載がない。メーカーに尋ねても「そのような情報は発信していない」という。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら